2024年05月02日( 木 )

別府市のマンション設計偽装~住人の安全を一顧だにしない大分県の対応(2)

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 別府の耐震強度不足マンションの「ラ・ポート別府」の不動産関連の税金の減免の実施を検討すべきではないか、という課題に対して、仲盛氏は以下のように語った。


 私が所有している別府のマンション「ラ・ポート別府」の設計が偽装されており耐震強度が不足していることについて、大分県知事と別府市長に質問書を送付しました。

(大分県 広瀬知事あての質問書)

大分県知事 広瀬勝貞様
 私は大分県別府市若草町4番3号の分譲マンション「ラ・ポート別府」(以下「本マンション」)1001号室を所有しています。将来売却することも想定して、法適合性や耐震上の安全性を知るために、本マンションの図面を拝見しました。
 その結果、
(1)1階鉄骨柱脚が非埋め込み形柱脚である。
(2)柱脚の鉄量が規定量(柱頭の鉄量と同等以上)より60%も不足。
(3)耐力壁を有する架構において、耐震壁方向に有効な鉄骨が配置されていない。
 以上3点が判明し、これらを考慮した構造計算が行われていない可能性が極めて高く、解体・建て替えを要する違法建築であることが分かりました。

 特に、1階柱脚鉄量が規定の半分以下(60%不足)ということは、最も重要な1階部分が崩れ倒壊する可能性が極めて高く、本マンションの居住者全員の生命に関わる重大な問題であり、この事実を知り得た以上 私には他の住人に知らせる義務があります(違法性や危険性を隠ぺいすることはできません)。

 私を含めた 本マンションの区分所有者にとって、本マンションが法に不適合で耐震強度を有していなければ、資産価値がゼロということになり、多大な損失を蒙ることとなります。また、本マンションが倒壊した場合、近隣の建物及び居住者、歩行者、車両などに甚大な被害を与え、区分所有者が加害者という立場になってしまいます。
 本マンションは 大分県による建築確認を受けています。つきましては、本マンション区分所有者のために、大分県が本マンションの構造上の法適合性と耐震上の安全性を確認した根拠を示し、説明をお願いできないでしょうか?大分県が根拠を示していただければ、本マンションの資産価値を回復し、安全性を担保することができ、区分所有者及び住人に安心を与えることができると思います。

 私は 大分県に建築確認の責任を追及しているのではなく、資産価値を回復させるためにお尋ねしていますので、本マンション区分所有者や近隣の市民のためにも、適切な説明を2020年6月22日までに仲盛までお願いいたします。

2020年6月8日
仲 盛 昭 二 

 大分県からは「当該建築物の建築確認申請書類は保存年限を過ぎており残っていないので、直接の根拠を示すことはできない。ただし、建築確認済証および完了検査済証を交付していることから、建築確認申請時の基準は満たしていたものと考える」との回答が届きました。

 別府市からは「当該建築物の建築確認申請書類は大分県より引き継ぎを受けていないが、大分県から引き継いだ台帳にて、建築確認および完了検査が行われた履歴は確認できる」との回答が届きました。

 私は、根拠を示したうえで、このマンションの耐震強度不足・法令違反を指摘しましたが、大分県は根拠を示すことなく「建築確認済証と完了検査済証が交付されているから、当時の基準を満たしている」という中身のない回答です。

 大分県による建築確認審査において、設計の偽装が見逃されていたために、偽装が是正されないまま確認済証が交付されていたのです。大分県は自らの落ち度を棚に上げ、根拠を示すことなく、(偽装を見逃した)建築確認済証が適正なものであるという前提で、見当違いの回答をしているのです。「(偽装を見逃した)建築確認済証の交付」が「設計が偽装されていないこと」の証明にならないことは、子どもでもわかることです。


(つづく)

【桑野 健介】

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