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2020年09月01日 15:17

【縄文道通信第45号】縄文道 天職ガイド―縄文人は海洋民族―海洋民族のパワーを蘇らせる(前)

(一社)縄文道研究所

 NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
 今回は第45号の記事を紹介。


縄文人は海洋民族~リスクテイカーから現代の天職を考察

 最近、伊豆の神津島で産出された黒曜石が、16,500年前以前の旧石器時代の遺跡から発掘されたという情報を得た。石器道具の重要資材である黒曜石が太平洋の黒潮をわたって輸送されていたということは、当時の人々が船や航海技術をもっていたことを示している。

 現在までに約160隻の丸木舟が発見されているため、考古学的にはおそらく丸木舟が使用されていたといえよう。

 黒潮が流れる太平洋を丸木船で輸送するにあたっては、相当なリスクを覚悟していたと思う。まさにリスクテイカーでチャレンジャーである海洋民族の精神が、長期にわたる縄文時代に形成されたといえよう。

 日本の面積は約37万m2で、日本は世界61番目に大きな国家である。ところが日本は排他的経済水域を含めると、世界6番目の大国といわれている。日本は多くの島をもっており、100m以上の海岸線をもつ島の数は6,852もある。

 この膨大な数の島のうち6,430島が無人島で、残りの422島が有人島である。現在、東シナ海における中国との対立で問題が起こっている尖閣諸島は無人島であるが、多くの海底資源をもち、日本の安全保障上、極めて重要な島でもある。

和船が活躍した海洋国家日本

 このような海洋国家である日本は、どのような歴史をたどってきたのだろうか。

 旧石器時代に丸木船が発達してから明治時代の開国で西洋の洋船技術を導入するまで、日本人は木造で船をつくる和船の歴史を歩んできた。

 和船は、厚い板を継ぎ合わせた古墳時代の古墳船型、諸手船、打瀬船、丸子舟、高瀬船といった木造の船が基本で、日本の内海での輸送に使用されていた。もちろん、平安時代に遣唐使が派遣された船や、江戸時代に大陸に派遣された朱印船、さらに中国沿岸の海賊行為で知られている「倭寇」が使用した、マストに帆を付けた木造のジャンク船も和船の一種である。

 ここで、和船が内海と外海で活躍した3つの例を挙げたい。

 1つ目は、北海道の豊かな海産資源を主に運んだ北前船である。北前船の航路には日本海ルートと太平洋ルートがある。日本海ルートは、津軽半島の港を出て日本海の港に立ち寄り、さらに対馬海峡を通って瀬戸内海を経て最終的に大阪に到着する。太平洋ルートは、津軽半島の港から太平洋側に出て、三陸の沖合から現在の東北地方の主要港に寄港し、最終的に江戸に到着する。

 2つのルートは、徳川幕藩体制の下で開拓された。江戸時代までに、長い海岸線を生かし、全国を網羅する輸送と交易のネットワークができていたのだ。

 北前船の船主は、各港の産品を自ら買い入れ、他港で売りさばく商人であった。北前船が江戸時代からの物流ではたした役割は極めて大きく、船主として、また産物の売買を通して富を蓄えた商人も多かった。

 2つ目は、村上水軍のように海上の戦いで勢力を伸ばした集団が存在することだ。村上水軍の発祥は鎌倉時代の元寇に対しての復讐という説もあるが、対馬海峡から日本海、瀬戸内海、さらには太平洋まで荒らした海賊集団ともいわれる。現在の香川、愛媛、徳島を中心とする地域は、もともと空海の出身地であったためか、宗教家には真言宗の宗徒が多かったようだ。

 村上水軍は13~16世紀において、港を支配した密貿易から、敵と思われる相手との代理戦争、時には略奪行為と海洋で暴れまわった。最終的には江戸時代に毛利家、小早川家などに吸収されたが、海洋民族集団の歴史的事例である。

 3つ目は、日本海、東シナ海を中心に日本の海賊として名を馳せた倭寇である。倭寇という名前は、朝鮮半島や中国の立場から命名されたものだ。海を荒らしまわる恐るべき海賊集団で、倭人が中心であったが、朝鮮半島や中国の人々も帰属していたといわれる。

 筆者はヨーロッパのベルギーに駐在時、「アングロ・サクソンにはもともと海洋民族、戦争や略奪を行ってきたバイキング(海賊)の血が入っている。一方で、大陸のゲルマン民族は森の民といわれるが、大陸で戦争と略奪を繰り返してきた山賊だ」とベルギー人の学者や経済人からも聞いたことがあった。

 筆者も豪州駐在時代に縄文文化と縄文人を研究していたため、「日本人は農耕民族」と説明することに躊躇し、「農耕時代に入る前に、約14,000年におよぶ縄文文化があり、狩猟―山賊、漁労―海賊という要素も日本人の源流となっている」と説明したことを覚えている。

 もし日本人の歴史について今問われたら、「狩猟、漁労民族の特性を源流、底流にもち、その性質が現代人の底流にも息づいている民族」と答えるであろう。

(つづく)


Copyright Jomondo Kenkyujo

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