• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年09月14日 13:31

【IR福岡誘致特別連載7】賢明な戦略、民間組織先行の福岡 IR

 8月19日、IR(カジノを含む統合型シテイリゾート)誘致促進委員会(代表者:井上準之助氏)とその促進組織グループが、国有地「海の中道海浜公園」周辺の商工会や地域住民を代表し、当地管轄行政責任者である福岡市行政と市議会、国有地管理者の国土交通省九州整備局、九州経済連合会など宛てに、IR誘致を強く要請する「上申書」を提出し、福岡市行政などの各機関から正式に受理された。

 この連載で以前にも取り上げたが、福岡IRでは地域住民が誘致促進を主導するという「ほぼあり得ない事例が実現している」と言える。なぜかというと、全国の福岡以外のほぼすべてのI R候補地では、周辺住民からギャンブル依存症のリスクなどを理由として「大反対の上申書」が管轄行政に対して提出されているが、誘致促進を要請する上申書が提出されたのは全国で唯一、福岡IRのみであるからだ。福岡市行政と市議会などにとっては、非常にインパクトがある出来事で、驚きをもって正式に受理されたことだろう。筆者も、この出来事には驚嘆した次第である。

 IRの各関連法案は、全国の各管轄行政による推進を基本的な法整備の対象として、安倍政権による強い意志の下で可決された。また、以前の記事でも取り上げたが、これまでのIR誘致は「安倍トランプ密約」により米国カジノ企業の筆頭であるユダヤ人組織のLas Vegas Sand's (ラスベガス・サンズ)、Caesars Entertainment(シーザーズ・エンターテインメント)などの「出来レース」であったが、IR誘致に不得手な各行政の不手際により、当時候補となったカジノ企業はすべてコロナ禍以前に撤退している。行政は、上記のような民間団体組織からIR誘致促進の要請を受けるとは一切予想していなかった。筆者は、地域住民主体の福岡IR誘致を賢明な戦略だと評価しており、今後の展開に期待している。

 今回の福岡IR誘致促進の要請は、上申書を提出した「僕の街にはアメリカがあったの会」が熟慮を重ねて練った戦略・戦術である。上申書を提出した(一社)福岡青年会議所(福岡JC)の下代表も含め、この組織の行いは見事としか言いようがなく、稀に見るものだ。他の候補地ではIR誘致反対派との問題が発生し、いまだにコンソーシアム(運営開発事業母体)の基本的プランを形成できておらず、福岡とは格段の差がある。国有地を利用するということもあり、管轄の福岡市行政や市議会、各関係機関などにとっては何のリスクもないため、行政や関連機関は好意的に上申書を受理した。

 長崎IRなどは、いまだに地元行政が依頼した調査会社制作の「年間集客数720万人」という非現実的な計画書案を継続して進めている。海外からの来日訪問者数が激減しているなかで、リスクを取れない日本企業がIRに参加するはずもなく、計画書案の内容を誰も信じてはいない。

 前述したように、政府の意志への忖度が見られる「IR関連法案」には、戦略や戦術に対する一切の縛りはないため、地域住民が誘致促進を主導することは法律に抵触しない。むしろ、民間組織による「運営開発事業母体」(Consortium)を企画提案することと規定されている。行政機関がIR誘致促進を実行しなければならないという決まりはなく、主体は民間企業であると明確に規定されている。行政機関の役目として規定されているのは唯一、国に申請する資格があるのは各地の管轄行政のみとされていることのみだ。いずれにおいても「お上」が選考し、選任する事項ではないのだ。

 「コンプライアンス症候群」になりつつある民間企業にとっては、「お上」が各地でIR誘致を選考してくれたらリスクなしに事業ができて都合が良いため、それがまとってから動き出そうという思惑だ。日本特有のこの文化は国際的なビジネスでは通用するはずもなく、海外資本のカジノ投資企業はいまだに理解できずに、振り回されている。そのため、各候補地でIR誘致が進まず、不満が続出している。

 福岡IR関係者によると、「既存の提携先である米国系カジノ企業2社、メジャーな海外投資企業からの問い合わせや接触が日々増加しており、我々の郷土である福岡市都市圏への高い評価を再認識させられる」という。福岡は多くの後背地人口を有する大都市であり、ほぼすべてのインフラが整備されているため、風光明美で市街地から離れた「海の中道海浜公園」は、統合型シテイリゾートのIRにとってもっとも適切なよい候補地である。「このことにもっとも気づいていないのは、住んでいる福岡市民ではないか?」との厳しい意見に、筆者はその適切さを再認識させられている。関係者は、福岡IRの実現性に確信とも言えるほどの自信をもっている。

 IR福岡の誘致の「一番乗り」の実現を期し、これからの進展を見守りたい。連載の続きを乞うご期待。

【青木 義彦】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年09月26日 07:00

国の「太陽光・風力発電推進」どこまで本音?再エネ政策に漂う不透明感(後)

 天候や時刻で発電量が変わる太陽光や風力発電は、電力を安定供給できるように溜めておける蓄電池が不可欠ですが、今年5月にインドで公募された「24時間365日運転可能な蓄...

2020年09月26日 07:00

孫正義氏の究極の選択~ソフトバンクグループの株式の非公開化はあるか?(4)

 「冒険投資家」の孫氏は、どうやってファンドを再生させるのか。1つの選択肢が、今年前半から欧米メディアでたびたび取り沙汰されているMBO(経営陣による買収)による株式...

2020年09月25日 17:23

東京オリンピックに間に合うか?激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争(前)

 世界では依然として新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大に歯止めがかからず、感染者数はついに3,000万人を突破した。死者も100万人を超えている...

2020年09月25日 16:21

「白髪・グレイヘアに関する意識調査2020」(ホットペッパービューティーアカデミー)~染め続ける人が減少傾向に

 (株)リクルートライフスタイルの美容に関する調査研究機関である「ホットペッパービューティーアカデミー」は、20~69歳の男女を対象に「白髪・グレイヘアに関する意識調...

2020年09月25日 15:54

工事費約14億円、那珂川市道善・恵子土地区画整理事業

 那珂川市道善・恵子土地区画整理事業の実施にあたり、道善・恵子土地区画整理準備組合は業務代行者の募集を行う...

2020年09月25日 15:31

九経連などが「台湾スマイルフェア」を実施

 24日、渡辺通り電気ビルにて「~がんばろう!! 台湾留学生応援企画~台湾スマイルフェア」が開催された...

2020年09月25日 14:42

国の「太陽光・風力発電推進」どこまで本音?再エネ政策に漂う不透明感(中)

 『今年7月から、発電所が発電できる能力を取引する「容量市場」の第1回入札が行われました。天候や時刻で発電量が変わる太陽光や風力発電は、これまで発電した電気を1kWh...

2020年09月25日 14:10

創業1926年の老舗料亭「三光園」が10月末で営業終了

 福岡市の老舗料亭「三光園」(中央区清川)が10月末で営業を終了することを明らかにした。三光園は1926年に創業。政財界人や芸能人らに親しまれてきた...

2020年09月25日 14:00

栗原渉前福岡県議会議長が福岡5区で立候補表明

 前福岡県議会議長で朝倉市・朝倉郡選出の栗原渉福岡県議(54)が次期衆院選で、福岡5区から出馬することがわかった。 

2020年09月25日 13:30

中国経済新聞に学ぶ~北京の自動車運転タクシー、客を乗せた実証実験

 北京市における試乗客を乗せた自動運転の実証実験始動セレモニーが9月10日、北京経済技術開発区の百度「Apollo Park」で開催された。インターネット大手の百度は...

pagetop