2024年03月29日( 金 )

BIS第170回例会~ワシントンDC、ローマを結ぶオンライン開催(3)

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 8月30日(日)の午後1時30分~5時まで、日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS、中川十郎会長・名古屋市立大学特任教授)第170回例会がZOOMを用いてオンラインで開催された。ZOOMによる開催は、29年の歴史を誇るBISで初めての試みだ。
 今回は「新型コロナ後の世界」をテーマとして、医学や経済学、社会学など幅広い分野の発表があった。当日は東京だけでなく、ワシントンDC、ローマ、仙台、大阪、福岡などから50名を超える有識者が参加した。

日本はSDGs創設でも主導権を発揮

 廣野氏は、MDGs(ミレニアム開発目標)からSDGs(持続可能な開発目標)への動きについて、以下のように延べた。

 1980年代のバブル経済に取り残された多くの途上国、とくにアフリカ諸国から「火の手」が上がり、2000年9月に198カ国の首脳と国際機関が参加したミレニアム・サミットで「新世紀開発宣言・行動計画(通称:新世紀開発目標MDGs)」が採択された。

 MDGsは、すべての発展途上国、とくに多くのSSA諸国(サブサハラアフリカ諸国)の経済社会の発展に向けて、極度の飢餓と貧困の削減、普遍的初等教育の達成、 ジェンダー平等の推進と女性の地位向上、幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延防止、環境の持続可能性の確保などを中心として途上国が自国で対応する7つの目標が設定され、第8目標として国際社会による発展途上国への国際協力が掲げられた。

 MDGsの内容は、12年の「リオ+20」の世界首脳会議でSDGsへと引き継がれていく。廣野氏は、「日本は、MDGsが採択される10年以上前から、またSDGs創設においても『アフリカ開発会議(TICAD)』の提唱や、02年のヨハネスブルクでの『持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD=通称、リオ+10)』などを通じて主導的な役割を演じてきた」と語った。

 SDGsは、もはや発展途上国のみではなく先進諸国も含む世界全体の目標であり、1990~2010年代により一層明らかになった社会的格差や地球規模の課題の軽減、解消を目指している。

発展途上国、先進国では政治的リーダーシップが欠如

 2030年のSDGsの最終目標の達成に向けて、国連経済社会理事会(ECOSOC)や各国連経済社会委員会、世界銀行、各開発金融機関は、国際社会が直面している課題について毎年報告書を発表している。

 これらの報告書に共通する課題は、主に発展途上国における資金不足、国内の計画・実施体制の不備である。しかし、最大のボトルネックは発展途上国、先進国ともに「政治的リーダーシップが欠如している」ことだと廣野氏は語る。各国は今、新型コロナウイルス感染症の拡大で、SDGs目標達成に向けてさらなる困難に直面しており、従来のやり方では立ち行かなくなっている。

(つづく)

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