2024年04月20日( 土 )

BIS第170回例会~ワシントンDC、ローマを結ぶオンライン開催(2)

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 8月30日(日)の午後1時30分~5時まで、日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS、中川十郎会長・名古屋市立大学特任教授)第170回例会がZOOMを用いてオンラインで開催された。ZOOMによる開催は、29年の歴史を誇るBISで初めての試みだ。
 今回は「新型コロナ後の世界」をテーマとして、医学や経済学、社会学など幅広い分野の発表があった。当日は東京だけでなく、ワシントンDC、ローマ、仙台、大阪、福岡などから50名を超える有識者が参加した。

注目のオゾン療法~免疫力向上、難病治療や予防に

 古田一徳氏(古田クリニック院長・医学博士)は、1つ目の基調講演として「統合医療から見たコロナ禍」を発表した。

 古田氏は新型コロナ対策で何よりも大事なことは「免疫力」と強調し、ほとんどの院内感染は、ドアノブ、コンピューターなどを通した接触感染によることを明らかにした。また、安全で効果のあるワクチンや治療薬はほぼ期待できないため、「十分な睡眠と偏りのない栄養ある食事を摂り、生活習慣を改善」するよう呼びかけた。

 古田氏は、感染防御の第1段階は「ウイルスが体内に侵入」、第2段階は「ウイルスが細胞のなかにまで侵入」、第3段階は「細胞内に侵入したウイルスが増殖を始める」であり、この第3段階のウイルスの増殖に効果的なのが、高濃度ビタミンCの点滴と「オゾン療法」であると語った。

 オゾン療法は約70年前にドイツで開発されたもので、身体に本来備わっている免疫力を上げる効果があり、ガンなどの難病の治療や予防でも注目されている。ステロイド剤や抗がん剤などを利用せずに免疫力を高められる。オゾン療法では、採取した血液の酸素を医療用オゾンで最大限に増やし、きれいに浄化された新鮮な血液を体内へ戻す。

体質を改善し、免疫力を上げる自覚が必要

 古田氏は、日本は欧米と比べて20年以上遅れているが、これらの療法は欧米では常識の「オーソモレキュラー医学」に基づくものであり、決して珍しいものではないと語った。

 オーソモレキュラー医学とは、ギリシャ語で「正しい」を意味する「オーソ(Ortho)」と「分子」を意味する「モレキュラー(Molecular)」の造語であり、ビタミンやミネラルなどの栄養素を正しく取り入れることで、病気の予防や治療を行う。古田氏は、今では世界中の大学や医療機関で研究・実践されているが、日本の医師で食事や栄養のことに言及する人は残念ながら、とても少ないと指摘した。

 最後に古田氏は、今回の新型コロナには、ワクチンや治療薬がないなかで、「国民1人ひとりが闘う戦士として、体質改善をして、免疫力を上げるための自覚が必要である」と語り、参加者にチャールズ・ダーウィンの下記の進化論の言葉を送った。

「世界中を回っていろいろな生物環境を研究した結論として、もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢いものが生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できるものである」(チャールズ・ダーウィン)。

非可逆的2大目標をいかに達成するか

 廣野良吉氏(成蹊大学名誉教授、国連開発計画(UNDP)顧問)は2つ目の基調講演として、「コロナ対策とSDGs」を発表した。

 廣野氏は、コロナ禍での国際社会の最大の関心事は「先決である人命救助対策がもたらす経済社会への悪影響をできる限り軽減するとともに、国際社会が首脳会議で採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」とパリ条約で合意した気候変動への適応と削減という『地球市民にとっての非可逆的2大目標』をいかに達成するか」にあると語った。

 しかし、新型コロナが拡がるなかで、各国は国内課題の解決に追われて、国際協力ができていないという事実を明らかにした。

私益を極大化しようとする既得権益集団へ奉仕

 日本の人々は、家族の生命を護り、長い年月をかけて確保した個人的・社会的生活を享受してきたが、事業者は今、その活動を守るために必死の努力を続けている。しかし、政府や地方自治体は突然に起きた新型コロナへの対応で迷走していることや、マスメディアやSNSから流れて来る暗い報道や誤報、政府官僚の度重なる不法行為や自己弁護的な態度に触発され、多くの国民は政府のみならず、政治への信頼さえ失いつつある。このままでは、「戦後75年にわたって、日本国民や住民が築き上げてきた相互信頼や経済社会、政治は一体どこに向かうのだろうか」と廣野氏は語る。

 本来であれば、政府や地方自治体の役割は、人を含めたすべての生命を国内外の災害から護り、人々の幸福のために質の高いサービスを提供することであり、生命の保全が最優先の目標である。「しかし、現実は、社会益・地球益よりも目先の私益を追求・極大化しようとする既得権益集団に奉仕する代理者となりつつある」と、廣野氏は憂いた。

(つづく)

【金木 亮憲】

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