2024年04月25日( 木 )

BIS第170回例会~ワシントンDC、ローマを結ぶオンライン開催(1)

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 8月30日(日)の午後1時30分~5時まで、日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS、中川十郎会長・名古屋市立大学特任教授)第170回例会がZOOMを用いてオンラインで開催された。ZOOMによる開催は、29年の歴史を誇るBISで初めての試みだ。
 今回は「新型コロナ後の世界」をテーマとして、医学や経済学、社会学など幅広い分野の発表があった。当日は東京だけでなく、ワシントンDC、ローマ、仙台、大阪、福岡などから50名を超える有識者が参加した。

空間の壁は超えたが、時間の壁はせり上がる

中川 十郎 会長

 オンライン開催のZOOM発信基地が置かれた東京駅正面の八重洲口会館地下2階のJ-SCORE事務所に、中川十郎会長や講師ら十数名が集合し、一部の講師を含む参加者は自宅や事務所、クリニックなどからZOOMを通して参加した。
 中川十郎会長は冒頭で、新型コロナ騒動のなか、4月から延期となっていた第170回例会の開催にZOOM発信基地を提供し、開催の実現に尽力した(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)の松井武久代表理事、藤川博巳副代表理事に深く感謝の意を表した。

 アメリカ・ワシントンDCから参加した今村勝征氏(ワシントン・ストラテジー・グループInc.代表取締役、ワシントンイノベーションネットワーク代表)、イタリアのローマから参加した楠本淳子氏(ローマ大学研究生、ローマを拠点に反原発運動を展開)、大阪から参加した中国情報に詳しい周瑋生氏(立命館大学政策科学部教授)から、簡単な挨拶があった。

 今村氏は日本商工会議所マレーシア駐在所長を経て、国際連合開発計画(UNDP)勤務でナイジェリア、ソマリア、マレーシアなど発展途上国を中心として海外での生活は50年におよび、ワシントンDCでの生活も30年におよぶ。現在WIN(ワシントンイノベーションネットワーク)を通じて、日米の研究機関、技術者、弁護士、学生などに「科学技術政策」「イノベーション政策」「産学連携」などのプラットフォームを提供している。

 今村氏は「今回のZOOMにより、空間を超えたセミナーを開催できたのはすばらしいことであるが」、しかし「今後の課題は、時間(時差)を超えられるかということである(セミナー開始時のワシントンDCは午前0時35分)」と語った。また、アメリカが抱える緊急課題として「新型コロナウイルス、警察による黒人の不当逮捕、テレビなどのメディア利用による情報戦となっている大統領選挙(民主党が政権を奪還するかどうか)」について語り、最後に「これを機会に、日本の皆さんとまたお会いしたい」と結んだ。

 セミナー開催時点では、イタリア・ローマは朝であった。楠本氏はイタリアの新型コロナ対策に触れ、「経済よりも健康優先の政策のため、ローマではホームレスが増えている」と語った。そして、「感染してもすぐに治療ができるように病院の体制を整えたうえで、経済をもとに戻していくべきではないか」と持論を展開した。

 周氏はエネルギーおよび環境問題を専門とし、「現在はwithコロナ社会をどう生き抜いていくのか、たとえばデジタル社会の行方を研究している」と語り、「日本、中国、韓国のアジアを代表する3カ国がいかに協力して、新型コロナを乗り切るかということは重要な政策課題である」と強調した。

(つづく)

【金木 亮憲】

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