2024年03月28日( 木 )

「リアル半沢直樹」~コロワイドの大戸屋への敵対的TOB成立、誤算続きの買収劇で巨額詐欺、店舗爆発など不祥事が次々と発生(1)

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 ネット上で「リアル半沢直樹」と呼ばれた外食大手(株)コロワイドによる、定食チェーンの(株)大戸屋ホールディングスの敵対的TOB(株式公開買い付け)。テレビ放映中の経済ドラマ「半沢直樹」の第1~4話は敵対的M&A(合併・買収)がテーマ。同業者である大手IT企業と銀行による強引な買収計画を退けるため、俳優の堺雅人氏が演じる半沢直樹が奮闘、「倍返し」するというあらすじだ。ドラマとは異なり、コロワイドの敵対的TOBは成立。外食業界で敵対的TOBが成立するのは初めてのことだ。

コロワイド目標とする過半数の株を握れず

 コロワイドは9月9日、大戸屋ホールディングス(以下、大戸屋)に対する敵対的TOBが成立したと発表した。締め切りとしていた8日までに、下限である151万株を上回る200万株を集めた。株式取得費用は約61億円で、コロワイドの持ち株比率は従来の19.16%から46.77%となったが、目標にした過半数の株式は握れなかった。

 コロワイドは取締役全員の解任を目的として、11月上旬の臨時株主総会の開催を求めたことも公表した。株主総会で現在の取締役11人全員を解任し、自社が推す取締役候補7人を選任するよう提案する。新社長にはコロワイド創業家出身の蔵人賢樹専務を据える。

 コロワイドのTOB成立を受け、大戸屋の窪田建一社長は9月8日夜、涙をにじませながらこう述べた。「株主が決めたことだ。結果を受け入れるしかない」。

夜間営業中心のコロワイドは、昼が主力の大戸屋を狙った

 コロワイドが大戸屋の筆頭株主として突如現れたのは2019年10月。創業家から大戸屋株の18.66%を取得(その後、19.16%まで買い増した)し、11月に子会社化をもちかけた。

 コロワイドは居酒屋「甘太郎」や焼き肉チェーンの「牛角」などの夜間営業が中心。コロナ禍で夜間営業に苦戦しており、昼営業が主力の大戸屋の定食事業で補うことを狙った。しかし、交渉は難航。今年6月の定時株主総会では経営陣の刷新を株主提案したが、委任状争奪戦(プロキシファイト)の末、否決された。

 その2週間後の7月9日、コロワイドが大戸屋のTOBを発表した。買い付け価格は1株3,081円。TOB発表前の株価に46%のプレミアムを上乗せした。TOBの条件は下限が45%、上限が51.32%だ。

 7月20日、大戸屋はTOBへの反対を表明。敵対的TOBに発展した。しかしコロワイドでは、さまざまな出来事が噴出し始めていた。

(つづく)

【森村和男】

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