参院選福岡選挙区・立憲・国民両党が2議席獲得に向けてしのぎを削る

 参院選(7月3日告示、20日投開票)を目前に控え、福岡県選挙区では改選定数3をめぐり、12人が立候補を予定している。2019年・22年の参院選では、いずれも自民党・公明党・立憲民主党の3党が議席を獲得しており3党の「指定席」「プラチナチケット」とも呼ばれたが、今回は大きく構図が変わったとされる。

立憲議員が訴えた1議席の重要性

 各党が参院選の前哨戦と位置付けていた、22日の東京都議選では、自民、公明両党が議席を減らす結果となった。

 物価高騰やコメ不足、裏金問題など、与党を取り巻く状況は厳しいが、福岡県内では自民・公明両党を支える組織団体、地盤は手堅いものがあるのも事実だ。24日には自民党の森山裕幹事長が福岡入りし、自民の松山政司氏と公明の下野六太氏の集会で、両氏を激励した。

 一方、立憲民主党と国民民主党は、共に2議席獲得を目指して活発に活動を展開している。

集会で語る野田氏
集会で語る野田氏

    24日夜、梅雨末期の雨が降るなか、福岡市立早良市民センターにおいて、立憲の野田国義氏の国政報告会が開催された。会場には支援者、福岡都市圏の地方議員、支持団体の連合に加盟する労働組合の関係者など、約300人が集まった。

 連合福岡の藤田桂三氏の激励の後、情報労連の組織内議員でもある石橋通宏参議院議員が壇上に立った。同氏は、ガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案を与党側が参議院での採決を見送ったことについて、「自民党・公明党が潰した」と指摘し「採決をして審判を仰げばいいといったのに逃げた」と与党の姿勢を批判した。

 続いて稲富修二衆議院議員(福岡2区)も挨拶し、ガソリン税の暫定税率廃止法案に言及し「衆議院で20対19のたった1議席で法案が通ったが、もし賛否が逆だったらと考えると、野田さんの1議席は必要で1議席がないと政治は変わらない、石にかじりついても取らないといけない」と力強く訴えた。

集会後、取材に応じる小川幹事長
集会後、取材に応じる小川幹事長

    党本部を代表して登壇した小川淳也幹事長は、「少数意見や反対意見に寛容でなければならない」と述べたうえで、「衆議院で多数を制している野党が足並みをそろえれば極めて大きな成果につながるが、足並みをそろえ切れていない要因は、参議院で自公が過半数を押さえていることが構造的な要因の1つ」と指摘し。「今般の参議院選挙は、政権選択選挙であるとの決意で、全力で取り組みたい」と語った。

SNSでの発信に力を入れる国民

博多駅前で演説する玉木代表
博多駅前で演説する玉木代表

    国民民主党からは、新人の川元健一氏が立候補を予定しており、博多駅前などで連日街頭活動を行っているほか、若い世代を意識してSNSを使った発信に力を入れている。川元氏の年齢が45歳の現役世代という点で、20代から40代に対する訴求力は大きい。

 国民の玉木代表は「福岡を最重点区」と述べ、選挙戦において幹部が来援する見込みである。

 先日の都議選で、同党は9議席を獲得した。昨秋の衆院選以降の党勢拡大の勢いは続いているとの見方もあるが、過去の不倫疑惑などを問題視された山尾(菅野)志桜里元衆議院議員の参院選擁立中止や、玉木雄一郎代表の言動が災いし、同党の支持率が急落している。

 立憲・国民両党の支持基盤は連合である点で共通する。国民は、民間労働組合を支持基盤とし、電力総連や自動車総連など4つの民間労組が中心となっている。これらは大企業中心で、組織分布も都市部や工業地域に集中している。国民は博多駅前など都市部での認知度向上に努めている。一方、立憲を支持する公務員労組の自治労や日教組は、市役所や公立学校に組織があり、県内の農村地域にもネットワークを張りめぐらしている。

 政治への不満は、自民党が強い農村地域でも同様だが、その中道保守層をいかに取りこめるのかが勝敗のカギになるだろう。

 30日には連合福岡主催で立憲・国民の両候補者に対する総決起集会も予定されており、両党の動きに注目が集まっている。

【近藤将勝】

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