本当に困っている人々に寄り添える政治を 機会平等で公正な社会へ(後)
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福岡市議会議員 稲員 稔夫 氏
福岡市市議の稲員稔夫議員は昨年4月の統一地方選挙では中央区でトップ当選をはたし、政治家として着実に基盤を固めている。稲員氏は地域の福祉、子育て支援、教育の問題に重点的に取り組んでおり、少子高齢化の問題を中心に稲員氏に話をうかがった。稲員氏の活動の根幹にあるのは、なかなか光が当たっていないが、本当に困っている、辛い思いをしている人々に寄り添い、彼らが希望をもてる社会を実現すべきという思いだ。
根本的な少子化対策とは 不妊治療支援の充実
稲員 2つ目に不妊治療への支援をより使いやすいものとすることです。私は2017年の議会において、一般不妊治療で保険適用外の人工授精に対する福岡市単独助成制度の創設を提案し、翌18年度に人口授精への単独助成が開始されました。特定不妊治療には1回約50万円といった高額な費用の支出が必要となります。特定不妊治療費の助成制度の仕組みは、利用者が不妊治療の実施時に先に全額を支払い、実施後に申請をして費用の一部が助成され返ってくるというものです。しかし50万円もの大金を一括で支払うため、負担が大きくのしかかります。参考になるのは出産への助成制度です。利用者は出産育児一時金の医療機関などへの直接支払制度を利用することにより、先に高額な費用を支出することが不要となり、心理的負担は比較的小さく済みます。特定不妊治療費の助成制度も同様の措置を設けることを提案しています。
実現がなかなか進まない理由の1つに、特定不妊治療費助成の申請に6回までという制限(初回助成時の年齢により異なる)が挙げられます。申請回数は利用者の申告に依拠しており、ほかの自治体にある病院での申請の正確な実態を把握しにくいという懸念があります。今後、マイナンバーカードが保険証にも活用できるなど、より広範に活用されるようになれば、他の地域での診療履歴を病院側で確認できるようになり、このような懸念は解消されていくかもしれません。
機会平等、公正な社会へ
――お話をうかがっていて、人々が多くの選択肢をもてる公正な社会を大事にされていると感じます。
稲員 子どもの教育に関しても同様にその将来について懸念します。たとえば職人の子どもが保護者から「稼業を継承するのだから勉強しなくてよい、大学も行かなくてよい」と言われているケースがあります。家庭の経済的困窮が子どもの学習環境に悪影響をおよぼし、進学を断念するケースもあります。貧困の連鎖です。いずれにおいても、子ども本人に勉強できる環境が提供され、自身で将来の道を選択できる状態が望ましいと思います。
小学校においては、同じ学校の同学年でもクラスにより教員が異なるため、クラス間の生徒の学力格差が拡がっています。各家庭において、子どもを塾に通わせている家庭が増えているため一概にはいえませんが、義務教育を担う地方自治体の責任として、学校で学力と人間力をしっかりと養うことが大切であり、家庭環境における格差の是正につなげていく必要があります。
たとえば評判のよい教師が全生徒にオンラインで授業をするといったことを提案しています。担任の先生はそれを補助し、授業の補完をすることにより、教師は授業の上手な他の教師から学ぶことができ、教師の質の向上にもつながります。また生徒間の格差是正にもつながると考えています。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
稲員 市民に先を見せる、未来を見せることが政治家の役割だと思っています。人々が幅広く選択肢をもてる、機会均等が保証された公正な社会を実現できるよう、常に思いやりの心をもっていきたいと思います。
(了)
【茅野 雅弘】
<プロフィール>
稲員 稔夫(いなかず・としお)氏
1973年、福岡市生まれ。1997年、国際武道大学卒業。2015年、福岡市議会議員初当選(中央区、自民党市議団、現在2期目)。市議会では教育こども委員会、少子・高齢化対策特別委員会に所属。
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