2024年04月19日( 金 )

徐々に解明されつつある新型コロナウイルスの正体(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。全世界の感染者数は3,300万人を超え、死者数も100万人に達した。新型コロナウイルスの流行初期は、私たちは数カ月我慢すれば、新型コロナウイルスは終息するものと考えていたが、予想外の展開により将来に対する不安を募らせている人も多くなっている。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同種のウイルスであるため、インフルエンザ同様に、今後は終息することなく、変異して人が罹患するという事態を想定するのが良いかもしれない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。全世界の感染者数は3,300万人を超え、死者数も100万人に達した。新型コロナウイルスの流行初期は、私たちは数カ月我慢すれば、新型コロナウイルスは終息するものと考えていたが、予想外の展開により将来に対する不安を募らせている人も多くなっている。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同種のウイルスであるため、インフルエンザ同様に、今後は終息することなく、変異して人が罹患するという事態を想定するのが良いかもしれない。

 そのような状況下、アメリカでは新型コロナウイルスが依然として猛威を振るっており、全世界の感染者数の約4分1を占めるほどだ。今回は新型コロナウイルスで解明された最新の科学的な事実などをご紹介したい。

 ウイルスは遺伝情報を保有する核酸(DNAかRNA)とタンパクの殻で構成されている。ウイルスの特徴は、自身の細胞をもたず、他の細胞に入り込んで生きるということだ。寄生先の生命体の細胞を借りて、自身の遺伝子を複製、増殖させることで、ウイルスを増やしていく。新型コロナウイルスの場合、遺伝情報はRNAに入っている。二重螺旋のDNAは構造が安定しており、複製する過程でエラーが発生することは少ない。しかし、RNAは一本鎖であり、複製する過程で変異が発生しやすいという不安定な構造となっている。

 ウイルスが変異しやすいのは、それによって、免疫を回避するためとも言われている。RNAウイルスには新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザ、エボラウイルス、スペイン風邪、エイズを発生させるHIVなどもある。コロナウイルスはこれらの変異に加えて、種類が4つ(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)あるため、より複雑となる。ガンマとデルタは主に鳥類を感染させるタイプで、人間など哺乳類はアルファとベータに感染されるという。

 これまでに発見されているコロナウイルスは今回の新型コロナウイルスを入れて合計7種類となる。2003年に中国で流行ったSARSウイルスも12年に確認され15年に流行した中東呼吸器症候群(MERS)もコロナウイルスの一種である。新型コロナウイルスはSARSウイルスと遺伝子が89.1%一致するという。コロナウイルスは1930年代に鶏から発見されて以来、犬、豚、鳥類などにおいて新たに発見され、60年代に人からも発見されることとなった。

 新型コロナウイルスはベータタイプで、SARSウイルスが変異したものとみなされている。新型コロナウイルスは口または鼻腔のなかの粘膜などから体内に入る。新型コロナウイルスの表面を覆っているタンパク質には、10~15nmの突起が出ている。これをスパイクタンパク質という。ウイルスのスパイクタンパク質と、人間の細胞のACE2受容体が結合して始めて、ウイルスは人体の細胞内に入ることができる。ところが、このようなACE2受容体は、肺や心臓などに多い。もちろん胃などの消化器官にもある。新型コロナウイルスは呼吸器疾患を患っている人にとって致命的である理由はここにある。

(つづく)

(後)

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