2024年04月18日( 木 )

玉木新党離脱が大吉報である理由

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を紹介する。今回は、「共産党とは共闘できない玉木氏のグループには自公の側に行ってもらって野党陣営の矛盾を解消し、連合を解体して野党勢力の結束を純化させることが、CIAの企みを打破する決め手」と訴えた9月26日付の記事を紹介する。


「自民党に公明党」なのだから「立憲民主党に共産党」で何の問題もない。
公明党や共産党が単独で政権を保持するとなれば大多数の国民が反対するだろう。
しかし、その可能性は存在しない。

そもそも自民党は公明党を目の敵にしていたのだ。
自民党内組織を母体として創設された「四月会」による創価学会攻撃は熾烈を極めた。
「四月会」と命名されたのは「死学会」の意味を掛けているとも見られている。

「公明党と創価学会は政教一致である」との批判を展開した。
設立母体になった自民党内勉強会名称は「憲法20条を考える会」。

第二十条【信教の自由、国の宗教活動の禁止】
1 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

1993年に樹立された8党派による連立内閣である細川内閣に公明党も加わった。
このことを背景に自民党が激しい公明党・創価学会攻撃を展開した。
その後、自民党は変節し、公明党・創価学会攻撃を中止。

1999年10月に自自公連立政権を発足させた。
自民党単独で政権を樹立することはできない。

自民党に投票する国民は全体の17%しかいない。
6人に1人しか自民党に投票していない。
公明党に投票する者を合わせると国民全体の約25%になる。

政権を獲得、維持するためには25%の票が必要だ。
そのために公明党の弱みを握り、公明党をパートナーに引き込んだ。

日本政治を支配しているCIAの工作であると考えられる。
投票率引き下げに最大のエネルギーが注がれてきた。
選挙が近付くと大物芸能人の薬物事件が必ず表面化する。

「表面化する」のではなく「表面化させる」が正しい。
25%の投票で政権を樹立するには投票率を50%以下に引き下げることが望ましいからだ。

最後の要諦(ようてい)は敵陣営を分断すること。
そのために「共産党と共闘するのか」と触れ回る。
しかし、少し考えれば「共産党と共闘するのか」が「公明党と共闘するのか」とほぼ同義であることに気付く。

何の意味もないフレーズなのだ。
共産党が連立政権に加わったところで、直ちに憲法が書き換えられるわけではない。
資本主義が終焉するわけでもない。

彼らの目的は、自公に対抗する勢力を「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」に分断することにある。

投票率が50%で、自分たちが25%を確保する。
残りの勢力が2つに割れれば目をつぶっていても自公が勝つ。
それだけのこと。

だから、彼らは必ず野党勢力のなかに「共産党とは共闘しない」と叫ぶ勢力を送り込む。
送り込まれた者は「工作員」だ。
この構図を理解すれば、自公政権を退場させて革新政権を樹立する方法が明瞭になる。
共産党を含む強固な共闘体制を構築するのだ。

「共産党と共闘するのか」と絡んできたら、「共産党と共闘しますよ―。公明党と共闘するんですか―」と受け答えればよい。
「共産党と共闘するのか」と叫ぶ者がいたら、相手の顔をよく見ることだ。
間違いなく「工作員」の顔をしているはずだ。

玉木雄一郎氏らが合流新党に加わらなかった。
このことについて、合流すべきだったとの批評を耳にする。

私はまったくそう思わない。
玉木氏らが合流しなくて本当に良かったと思う。
問題の根幹に連合の問題がある。

連合は総評と同盟などが統合されて創設されたもの。
93年の政権交代実現には一定の役割をはたしたといえる。
しかし、総評と同盟は水と油なのだ。

大資本の利益のための組合と労働者の利益のための組合は本質的に目的が違う。
今回、合流新党を支援しないことにした労働組合は大資本の利益のための組合。
御用組合である。

CIAが1960年に民社党を創設したのは、革新勢力が結束するのを防ぐためだった。
その役割を担ってきたのが同盟であり、民社党の流れを汲む政治勢力なのだ。
この勢力が野党陣営に入り込むことによって野党陣営は「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」とに分断され続けてきた。

投票率が50%で自公が25%得票する。
反自公が2つに割れれば必ず自公が勝つ。
この「自公勝利の方程式」が確立されてきた。
この「自公勝利の方程式」を維持するための呪文が「共産党と共闘するのか」の常套句なのだ。

立憲民主党の枝野幸男氏は四の五の言わずに、「共産党と共闘する」といえばよい。

自民党も単独で選挙に臨まないのだ。
自民党に「公明党と共闘するのか」を詰問もせずに、「共産党とは何ができるかを協議してゆく」と答えるのでは迫力不足だ。

玉木氏のグループは「共産党とは共闘できない」を売りにしている。
合流新党を支援しないとする労働組合も「共産党とは共闘できない」が合言葉だ。
これらの勢力には自公の側に行ってもらうのが「矛盾の解消」だ。

自公の側に行って自公の候補者がいる選挙区から候補者を擁立してもらえば、自公側の得票を食い合うことになる。
反自公勢力にとって最高の構図が出来上がる。

連合は一刻も早く分裂すべきだ。
御用組合と労働組合にわかれる。

水と油が同居しているから野党共闘が形骸化する。
「すべての不幸は矛盾から生まれる」。
「矛盾の解消」が未来を切り拓く第一歩になる。

「水と油」を同居させているのはCIAの策謀。
革新勢力が大同団結、一致結束すれば、大資本のためのシステムが壊されてしまう。
すべてを米国が支配する植民地の構造が壊されてしまう。

このことから工作活動を重ねてきたのがCIAなのだ。
連合を解体し、野党勢力の結束を純化させることがCIAの企みを打破する決め手になる。


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植草一秀の『知られざる真実』

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