2022年06月30日( 木 )
by データ・マックス

【凡学一生の優しい法律学】横行する同意詐取~前田建設廃材不法投棄事件(前)

 日本社会のあらゆる局面で見られるのが同意詐取である。日本人は契約書と押印に弱い。裁判でも契約書に押印された証拠書面が提出されると、ほぼ敗訴となる。「知らずに押印した」「騙されて押印した」との弁解を裁判官は認めない。

 不利益文書への署名押印を真正なものと認める裁判官の論理が、「自己に不利益なものを間違っても認めるはずがない」という「無知」や「拷問」そして「詐取」の存在・可能性を端から否定する独善論に支配されているからである。

 日本社会ではほとんどの同意詐取が社会常識の欠如、つまり「無知」を原因としている。先日報道された同意詐取事件は重大な法律問題を派生して引き起こしており、詐取者の経済目的が重大であればあるほど派生する法律問題は大きくなる。同意詐欺の問題の発生予防と解決に役立つと考えられるため、その一例を分析し検討した。

前田建設廃材不法投棄事件

(1)事実の概要

 前田建設工業(株)(請負人)は(学)日本航空学園(施主)から請け負った校舎や学生寮の建設工事で、建設廃材を校舎などの壁の隙間に廃棄していた。同社は「学校側と合意していた」としているが、環境省は廃棄物処理法違反(不法投棄)の恐れがあるとしている(『産経新聞』9月6日付)。

(2)不法投棄の合意(同意)

 施主が不法投棄に合意していた、と請負人が主張する事例である。しかし、このような主張がなされると、独善裁判官ならずとも「そんな馬鹿な契約に同意する筈がない」ということになる。この事例は正式な産業廃棄物処理ではないため、施主の正式な出番はない。請負人の弁解は一体誰に対してのものなのか。事件の展開がそのことを見事に示している。

(3)事件の展開

 当然のことながら、当面の問題は発見された不法投棄建築廃材の処理である。請負人の善後処理の申し出を「信用できない」として施主は断ったという。適正な善後処理は第三者の建設業者に依頼されたが、問題はその費用・損害の賠償、つまり、請負人の法的責任をどうするのかということである。

(つづく)

(中)

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