2024年04月19日( 金 )

コロナによって東京一極集中の流れは変わったのか? 2020年の東京都の人口動態~グローバル都市不動産研究所レポート

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 新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワークが普及し、それが大都市からの人口移動を促すことにより、従来の東京一極集中の流れが変わっていく、地方に分散していくとの予想がある。

 これに関して、(株)グローバル・リンク・マネジメント(東京都渋谷区、金大仲代表取締役)傘下のグローバル都市不動産研究所(市川宏雄所長)が、新型コロナウイルスの感染拡大が東京の人口にどのような影響を与えているのかという問題意識から分析を行っており、そのレポートを入手したので紹介する。

 同研究所は「東京都の人口推計」(東京都)、「住民基本台帳人口移動報告」(総務省)の2つのデータを基に分析を行っている。主なポイントは以下の3つだ。

(1)外国人の減少傾向が顕著

 20年5月1日に総人口が初めて1,400万人を突破したが、7~8月の減少幅が大きい。外国人の大幅減の影響大。日本人も8月には大きな減少に転じた。

(2)東京からの転出先は近隣 3 県が大半、地方は少ない

 7~8月に転出者が増えたものの、総人口からみてほんの僅かに過ぎない。
 日本人の転出者の年齢は20~30代が中心、多くは隣接3県(埼玉、千葉、神奈川)に移動。東京23区に必ずしも住む必要のない人々が転出を選択。

(3)23区内でも増減 都心部への移転も

 新宿区、江戸川区、豊島区などでは外国人の減少が影響大。
 千代田区、品川区、台東区、中央区では7~8月に人口が増加しており、長時間通勤や通勤混雑を嫌う人々の都心部への移転が見られた。

 同研究所の分析結果から、「東京一極集中の流れが変わった、地方分散が始まったといえる状況にはまだない」ということがいえる。市川所長は、コロナによる「東京からの人口移動は東京圏内で起きており、地方への転出は極めて少ない」「来年の夏ごろにワクチンや治療薬が用意されて感染が沈静化すると、東京一極集中の終焉というフレーズが現実的なのか、よく考えてみる必要がありそうだ」と総括している。

【茅野 雅弘】

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