2024年04月25日( 木 )

【インタビュー】政権交代の受け皿ができた 立憲民主党福岡県連代表・山内康一衆院議員

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■NEW「立憲民主党」の福岡県連が始動

 旧立憲民主党と旧国民民主党との合流新党「立憲民主党」は10月18日、福岡市内で福岡県連合会の結成大会を開いた。新しい県連には衆議院3人、参議院3人の国会議員が所属する。結成大会には枝野幸男代表も来賓として出席し、県連代表に山内康一衆院議員、代表代行に城井崇衆院議員、幹事長に原中誠志県議などを充てる人事を決めた。

〈立憲民主党 福岡県連所属の国会議員〉
衆院議員 山内康一氏(旧立民/比例九州)
衆院議員 城井崇氏(旧国民/比例九州)
衆院議員 稲富修二氏(旧国民/比例九州)
参院議員 江崎孝氏(旧立民/比例代表)
参院議員 古賀之士氏(旧国民/福岡選挙区)
参院議員 野田国義氏(旧立民/福岡選挙区)

■山内代表「アベノミクスで利益を得たのは一部の人だけ」

山内 康一 氏

 ――次期総選挙、年内解散も含めて4パターンが考えられる。
山内康一福岡県連代表(以下、山内) 年内解散はスケジュール的に難しいので、最も早くて来年1月召集の通常国会冒頭での解散が考えられます。残り数カ月しかないわけで、いつでも選挙できる態勢を整えなければなりません。

 ――福岡県内には11選挙区ある。候補者調整は。
山内 現段階では7選挙区。野党の一本化も課題で、野党票が割れないように、党本部での調整を含めて(野党間の)競合が避ける努力をしたい。

 ――連合は国民支援も表明している。
山内 小選挙区ですので、候補者がバッティングしないところはどちらも応援する可能性は十分あるでしょう。自民党の議席を減らすという目的からいえば、立憲が立てない選挙区を国民が取るというのも戦略として「アリ」だと思います。

 ――安倍政権の総括を。
山内 長かった割には実績が伴わなかった。日本経済がアベノミクスで成長したとは言えません。先進国のなかでは成長率が一番低いし、賃金も上がっていない。GDP統計も内閣府が統計の取り方を変えたので20兆円から30兆円の水増しで、日本の産業が弱体化した側面が大きい。原発輸出も国策でやったにもかかわらず全部失敗。異次元の金融緩和が良かったのは最初の2、3年だけで、金利が下がっても設備投資も伸びず、法人税を下げて企業収益が上がっても内部留保にまわしたために賃金も増えなかった。大企業や株主にとっては良いかもしれませんが、労働者の視点に立てば必ずしも良い政策とはいえません。メリットは一部の人に偏り、デメリットは国民で広くシェアするという政策がほとんどでした。ドル建てでみるGDPは6兆ドルから5兆ドルに下がり、円安で日本のプレゼンスが小さくなった結果、緩やかな衰退と格差拡大だけが残りました。菅さんはそれを受け継いでいくのでしょう。

 ――その安倍政権を倒せなかったのは野党側にも責任がある。
山内 野党がバラバラだったのは良くなかった。あと、「株価が上がっているから良い政権だ」という間違った印象が広がってしまった。株価と実態経済が乖離しているのは明らかで、官製相場でバブル的に株価を釣り上げていたんです。唯一、失業率が下がったのは安倍政権の実績かもしれませんが、これだって労働人口が減っているから当然といえます。しかも非正規雇用が増えて雇用の質自体は悪化しています。

 ――次期総選挙では国民に何を伝えるのか。
山内 争点設定を誤らないことが大事ですね。ある研究者の話だと、選挙報道の量がかつてに比べて半分まで減っているそうです。自民党は投票率を下げようとしていますが、対立軸を明確にして国民に選択肢を示すことが大事だと思います。アメリカで大統領が変わると「政治が変わる」という雰囲気が世界中に広がる傾向がありますので、それも追い風にしていければ。

 ――菅政権について。
山内 菅さんが言っている「自助努力」が意味することの問題点ですね。首相に就任して会った人たち、たとえば竹中平蔵氏や高橋洋一氏はいわゆる新自由主義者で、2000年代前半から同じことを繰り返し言っているわけです。その対立軸を明確にすべきで、「官から民へ」「小さな政府」というやり方が本当に正しかったのか検証すべきでしょう。経済はほとんど成長していない。そろそろ方向転換すべきです。

 あと、所信表明演説もしないまま外遊に出てしまいました。これも非常に戦略的で、外遊すると必ず支持率が上がるんです。報道量も多くなるし、野党も批判しにくい。しかし、インドネシアとベトナムという非常に良好な関係にある国に、しかもコロナで渡航自粛している間に行って解決すべき問題なんてないんです。野党に対してあまりにも理を欠くので、自民党の国体(国会対策委員会)もちょっと困っているのでは。国会軽視は安倍政権と変わらないということなのでしょう。

 ――国民との合流について。
山内 結果的に、政党の名前も代表も変わってないのに議席が88から150に増えました。大きな野党ができて、政権の受け皿ができたということだと思います。衆院で100人を超えると政権交代の現実味が出てきます。競合している選挙区調整もやりやすくなりますし、もともと民主党同士なので理念が大きく離れていることもありません。

 ――コロナ対策について。
山内 PCR検査数をもっと増やすべきです。なるべく無償化して、誰でも気軽に受けられるようにしないと感染の実態が把握できません。経済対策では、「GOTOキャンペーン」をもっと丁寧に実施すべきでした。キャンペーンを全否定はしませんが、高級ホテルは儲かっても本当に困っている小さな旅館にはお金が落ちていない実態がある。さらに生活苦で旅行どころではない人たちを最優先して救うべきです。倒産、廃業はなんとしてもくいとめなければならない。経営を維持できるために助成金などを手厚くすべきだと思います。

【特別取材班】

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