2022年08月15日( 月 )
by データ・マックス

【特別寄稿/陳時中・台湾衛生福利部長】ポストコロナ時代の世界公衆衛生ネットワークに台湾の参加を

台湾衛生福利部長 陳時中

 台北駐福岡経済文化弁事処より、陳時中(ちん・じちゅう)台湾衛生福利部長(保険・衛生大臣に相当)による台湾のWHO参加の意義を説く記事を寄稿していただいたので、掲載する。なお、台湾は9日から開催されているWHO年次総会に今年も参加できていない。
 台湾は新型コロナウイルスの感染拡大防止の成功例として内外で高く評価をされている。歯科医師出身の陳部長は早期から新型コロナウイルス対策本部の指揮官を兼任して連日の長時間にわたる記者会見に対応するとともに、衛生福利部を率いて迅速な対策を打ち出して成果を上げており、台湾で非常に高い支持率を誇る閣僚の1人である。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックで、11月5日までに世界の感染者数は累計4,800万人に達し、そのうち122万人余りが死亡した。これにより世界の政治、経済、貿易、金融、雇用など各方面において極めて大きな衝撃を与えているのみならず、国連による貧困、飢餓の撲滅など17項目にわたる持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む努力に対して深刻な影響をおよぼしている。

 台湾はこの感染症の脅威に対応するため、国民全体が力を合わせ協力していくなかで、慎重な態度、迅速な対応、先手の配備、公開・透明性といった4つの原則を堅持し、専門化した指揮系統による運用、厳格な検疫措置、適切な生産および分配による防疫物資の供給、在宅検疫・隔離とケアを同様に重視した管理、ITシステムの適切な運用、透明性の高い情報公開、正確なスクリーニング検査、感染症調査などの対策により、幸いにも感染の広がりを抑えることができている。10月7日時点での感染者は合計568人、死亡者は7名で、多くの国民が通常に生活できている。

台湾衛生福利部長・陳時中氏

 このたびのCOVID-19のパンデミックから、我々は伝染病に国境はないことを改めて実感した。ウイルスは政治、人種、宗教、文化の違いにより異なるわけではなく、各国は力を合わせ、ともにこの新興感染症の脅威に対抗していくべきである。そのため、台湾は国内の感染症の状況を安定させ、国民の防疫物資に対するニーズに支障をきたさないよう確保した後、「COVID-19 フォーラム」「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF)、「アジア太平洋経済協力会議(APEC)保健と経済に関するハイレベル会合」や2国間のオンライン会議などを通して、各国の公衆衛生、防疫関連の政府関係者あるいは専門家らとCOVID-19の防疫への取り組みの経験と知見を分かち合った。6月までに台湾は32カ国の政府関係者、病院、大学またはシンクタンクと、台湾の防疫専門家との間でテレビ会議を77回以上開催し、「台湾モデル」を紹介した。

 台湾は医療設備や防疫物資を緊急に必要としている国々に提供し、6月までにサージカルマスク5,100万枚、N95マスク116万枚、医療用ガウン60万着、非接触型体温計3万5,000個、その他各種医療器材を80数カ国に寄贈した。

 台湾は国民がワクチンを十分に取得できるよう確保するため、GAVIワクチンアライアンス(子どもの予防接種プログラムの拡大を通じて、子どもの命を救い、人々の健康を守ることをミッションとする)、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、WHO(世界保健機関)が合同で主導したCOVAXファシリティ(世界各国で共同購入し分配する国際的枠組み)にも参加している。我が国は、国内のワクチン製造会社が研究・開発、生産を加速させることにも積極的にサポートし、できるだけ早くワクチンが市場に流通して、パンデミックの早期収束にプラスとなるようにしている。

 台湾はこの感染症の次の一波が再来する可能性と秋冬のインフルエンザ感染症という二重の脅威に直面しており、気を緩めることはない。引き続き国民にマスク着用、ソーシャルディスタンスの維持を呼びかけ、水際対策や地域社会の防疫、医療整備の後続的戦略を強化し、さらには、積極的に国内外と協力し、ワクチンの取得、効果的な治療および正確な診断の質の向上を図り、ともに世界の公衆衛生を守っていく。

 台湾はこのたびの感染症の試練を通して、台湾が世界の公衆衛生ネットワークの外に置かれていてはならず、またWHOも台湾を排除できないことを実証した。我々はWHOおよび関連の各方面に対して、台湾の長期にわたる世界の公衆衛生・防疫および健康・人権への貢献を直視し、台湾をWHOに加えることを力強く支持することを求め、それにより台湾がWHOの各関連会議、メカニズム、活動へ全面的に参加して、世界各国と手を携え、WHO憲章の「健康は基本的人権」および国連のSDGs が掲げる「誰1人取り残さない」のビジョンをともに実現していくことを呼びかけるものである。

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