2024年03月19日( 火 )

九州地銀の2021年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する (2)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行(含むFG・FH)の2021年3月期第2四半期(中間期/9月期)の(親会社株主に帰属する)中間純利益順位表である。

~この表から見えるもの~
(1)    金融グループの当期純利益順位表
◆1位はふくおかFGで20年9月期(中間)の親会社に帰属する当期純利益は前年同期比1,090億600万円の262億6,400万円(前年同期比-80.6%)と大幅な減益となった。その要因は2019年4月1日の十八銀行との経営統合にともなって、特別利益1,180億円の「負ののれん」益が発生したことによる。それを差し引きすれば約90億円の増益となっている。経常利益は前年同期比+86億7,100万円の384億6,100万円(同+29.1%)。売上高に当たる経常収益は前年同期比+31億1,200万円の1,415億7,600万円(同+2.2%)。
・2位は西日本FHで当期純利益は前年同期比▲17億3,100万円の94億4,400万円(同-15.5%)。経常利益、経常収益とも前年同期比で減益。
・3位は九州FGで当期純利益は前年同期比▲19億3,900万円の92億2,300万円(同-17.4%)。経常利益は同減益。経常収益は同増益となっている。

(2)    九州地銀18行の当期純利益順位表
◆1位は福岡銀行で前年同期比+56億6,800万円の282億5,300万円(同+25.1%)。
・2位は西日本シティ銀行。前年同期比▲14億5,700万円の78億300万円(同-15.7%)。
・3位は肥後銀行。前年同期比▲15億5,900万円の63億9,900万円(同-19.6%)。
・4位は鹿児島銀行。前年同期比▲10億3,300万円の50億700万円(同-17.1%)。
・5位は宮崎銀行。前年同期比+9億7,700万円の41億1,500万円(同+31.1%)と大幅な増益。
・6位はふくおかFG傘下の熊本銀行。前年同期比+7億5,300万円の24億4,900万円(同+44.4%)と大幅な増益。
・7位は親和銀行。前年同期は▲1億7,000万円だったが16億9,400万円とプラスに転じている。
・8位は山口FG傘下の北九州銀行。前年同期比+1億3,800万円の15億500万円(同+10.1%)。やや勢いが止まったようだ。
・9位は大分銀行。前年同期比▲9億9,100万円の14億500万円(同-41.4%)と、九州地銀18行のなかでもっとも減益率が大きくなっている。
◆10位は佐賀銀行。前年同期比+2億5,300万円の13億2900万円(同+23.5%)。
・11位は南日本銀行。前年同期比+1億4,600万円の10億6,000万円(同+16%)。
・12位は宮崎太陽銀行。前年同期比+4億200万円の10億1,000万円(同+66.1%)と大幅な増益。
・13位は十八銀行。前年同期は▲43億8,500万円だったが、9億9,700万円の黒字に転じている。前年は親和銀行との合併に対して、県内シェアの調整を求められ、親和銀行とともに赤字決算を余儀なくされた経緯がある。20年10月1日付けで親和銀行と合併し、十八親和銀行が発足しており、今後の経費削減効果を見守りたい。
・14位は豊和銀行。前年同期比+1億3,800万円の8億6,500万円(同+19%)。
・15位は筑邦銀行。前年同期比▲8,300万円の4億8,700万円(同-14.6%)。
・16位は福岡中央銀行。前年同期比+1億5,300万円の4億3,300万円(同+54.6%)と大幅な増益。
・17位は佐賀共栄銀行。前年同期比▲1億6,900万円の3億4,400万円(同-32.9%)。
・18位は長崎銀行。前年の当期純利益は800万円だったが5,600万円増加して6,400万円(同+700%)。ただ、九州地銀のなかで1行だけ1億円割れとなっている。

<まとめ>
 新型コロナウイルスは「第3波」に入り、感染拡大が続いている。九州地銀の取引先企業も何とか上期は乗り越えたが、下期も感染拡大による厳しい経営環境が続くことになれば、倒産が続発することも予想される。九州地銀の2021年3月期(通期)決算は、厳しい収益状況にあるのは間違いないようだ。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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