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2020年12月01日 10:45

【企業研究】九州有力通販エバーライフ 低迷からV字回復への道(後)

(株)エバーライフ

 九州を代表する通販企業として知られる(株)エバーライフ。健康食品通販市場の黎明期に急成長したが、類似品や競争激化により失速。しばらく低迷が続いていたが、最近は化粧品通販で再び浮上し始めている。

最盛期から3年で150億円の減収

 業績の伸長のさなか、社内では広告費増大による経営の先行き不安が燻り始めていた。当時、商品1個あたりの購入に対する広告コストが以前は平均1~2万円以下だったのに対し、5万円以上まで跳ね上がっていたといい、2910年3月期以降、コストパフォーマンスに見合う収益が上げにくくなっていく。鍋島氏のテレビ広告依存の経営姿勢に対しての反発も強まり、コールセンタースタッフをはじめ、幹部クラスが続々と離脱。11年6月には、鍋島元社長ら取締役全員が突然退任した。

 後任に東大卒でMBAを取得、大手投資会社のリッジウェイ・キャピタル・パートナーズ(株)に在籍していた浅井克仁氏(現・(株)遺伝子治療研究所 代表取締役)が就任。これまでの事業からの脱却を掲げた浅井氏は、「皇潤」に卵由来の関節訴求の新成分「iHA(アイハ)」を配合させ、高齢者中心の顧客層から中高年にも購入者を広げようとしたほか、新たな健康食品ブランド「Sence of Eternity(センス・オブ・エタニティ)」を立ち上げ、新たな商品の柱づくりを目指した。

 また台湾に販売事業子会社を設立し、海外販売に取り組んだものの、成果にはつながらず、業績は13年3月期で売上高117億6,200万円、当期利益16億1,800万円と、最盛期の10年3月期からわずか3年で売上高は約150億円の減収となった。

 そうしたなか、12年12月に親会社のCLSAキャピタルパートナーズが、韓国の家電大手企業であるLGのグループ会社で、生活用品販売事業を手がけるLG Household & Health Care社(以下、LG生活健康)に約258億円で全株式を売却。韓国資本の会社となり、13年7月には浅井氏は退任。一時的にLGの副社長およびLG H&H社のCEOを兼務していた車錫勇氏が社長に就いたが、翌14年10月に元クラシエホールディングス(株)前会長で(株)カネボウ化粧品の社長を歴任し、同社の顧問を務めていた故・中嶋章義氏が代表権のない取締役社長に就任した。

 04年には経営難で債務超過となり、産業再生機構の支援を仰いだ低迷期のカネボウを立て直した手腕が評価された中嶋氏が、これまで経験のない通販事業でどう手腕を発揮するかが注目されていた。そこで業界の物議を醸したのが、新たに処方を組み替えた「皇潤」のリアル店舗での販売開始だ。当時はイオン、ココカラファインヘルスケア、サッポロドラッグストアなどの有力流通・薬系店舗で販売したものの、思うような収益には至らず、15年12月期は売上高109億2,900万円、当期利益4億1,900万円と、売上高は最盛期からわずか5年で約60%、利益は80%以上の減収と歯止めがかからず、16年3月に中嶋氏は社長を退任した。

LGのテコ入れで化粧品通販で活路

機能性表示食品「皇潤 極」
(同社ホームページより)

 中嶋氏の後任にはLG生活健康から李宇慶氏が代表取締役に就任した。この人事により売却の噂が流れた時期もあったが、実質的にLG健康生活が同社の通販事業の再構築に向けテコ入れするかたちとなった。

 前年から施行された機能性表示食品制度に対応した商品開発を推進し、「皇潤」をはじめ血圧、血糖やアイケア、記憶などを訴求した新商品を投入する一方、認知度はあってもかつての販売量は見込めないことから、化粧品通販に注力するようになる。

 もともとLG生活健康は化粧品販売が主体で、同社買収後、12年に化粧品通販の銀座ステファニー化粧品(株)、18年に化粧品訪販のエイボン・プロダクツ(株)と化粧品販売会社を次々と買収している。

 LG生活健康では積極的な海外進出による成長を目指す方向にあり、買収した企業の販売方法やエリアではLGグループで販売する化粧品を極力避け、できるだけ競争を防ぐかたちで事業シェアを拡大させていく方針で、同社は16年からLG健康生活を通じて韓国で製造した化粧品をラインナップ。シミ・シワ、乾燥肌対策の化粧品「艶肌美人」「美・皇潤 Beauté」シリーズを、従来のテレビCMのほか、自社インターネット通販や楽天などの大手ショッピングモールで販売。低価格かつ仕様感の高さで、「艶肌美人」ファンデーションは16年8月から19年7月まで累計160万個、「美・皇潤 Beautéクッションパッド」は累計100万箱以上を販売する大ヒット商品へと成長。19年12月期は売上高120億6,600万円、11億6,200万円の最終利益を計上。うち化粧品販売比率は約4割を占めるとみられ「化粧品事業が『皇潤』につぐ柱となっている」としている。

化粧品「美・皇潤ボーテ」(同社ホームページより)

 (株)えがおや(株)やずやなど、健康食品を主体とした通販会社が化粧品の販売をすることはあるものの、主力商品をしのぐ売上高となった九州の通販企業はキューサイ(株)ぐらいしかない。同社は今後も化粧品通販を伸ばしていく模様で、通販業態の転換により本当の意味でのV字回復となるかが注目される。

(了)

【小山 仁】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:李 宇慶
所在地:福岡市中央区天神2-5-55
設 立:2012年2月
資本金:41億3,712万5,000円
売上高:(19/12)120億6,600万円

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