公平で公正な自民党政権とは…

 石破首相は、先日も参議院選挙前の記者会見にて、「公平、公正で謙虚な政党を、国民と新しい日本をつくる…」として、施政方針演説時の自らの言葉を重ねて引用し、公に伝えている。下記の数値をご覧いただきたい。どこが、公正、公平で平等なのか?

 全国地方公務員給与平均660万円 (地方公務員280万人 国家公務員59万人は除く)、民間企業給与平均は約200万円低い460万円、これらはとんでもない格差社会である。

 ちなみに、1998年度の国税庁、民間給与実態統計調査によると、給与所得者数は4,545万人、平均465万円である。この約30年間は、ほぼ横ばいで変わってはいないのだ。すごい数値に、この格差社会に驚きを覚える。

 国家公務員、警察官、自衛官、消防士などは別格(危険をともなう職務)として、福岡県、福岡市、各町、各村に至るまで、すべての地方公務員給与の平均が、民間企業よりも年間で200万円も高い報酬をもらっているのだ。

 それも我々の税金で生活している人たちが、我々民間企業に勤めて、高い税金に高い社会保険料などを引かれている人たちよりも、年間で、200万円もの高給取りとは…。これらに合点がいくはずもないのである。どこが公正、公平、平等なのか?

 この30年間、いやそれ以前から、公務員給与のベースは、民間企業平均に合わせてというのが実は「まやかし」で、この国の巨大でわずかなメジャー企業の給与平均にあわせて、これを連動させてきたものが、年間200万円の格差を生んでいる訳だ。

 ちなみに、厚生労働省によると、民間平均所得額を下回る層は約4,545万人の民間就業者の“約60%”で、“約2,700万人”にも上るのだ。これは前述の地方公務員280万人の約10倍にもなる。

政治家にマスコミはなぜこれに触れないのか?

 参議院選挙の与野党の争点は、消費税減税などは毎日のように各社マスコミは報道している。また、各野党の党首も同様に「ばかの1つ覚え」の消費税減税に廃止論ばかりが目立つ。

 要は、「税金で食っている人たち」が、民間企業で「税金を払っている人たち」よりも、年間で200万円も高い給与を取り、これが格差拡大している現状に最大の問題があり、最大の要因になっているのである。

 与野党議員の全員が、この現実は「百も承知」で知らない人は皆無である。しかしながら、彼らは一切これに触れないのだ。なぜなら、この延長線上に自らの政治資金と衆参議員数の改革を迫られることになりかねないからである。彼らにはできないし不可能なのだ。

国民よ、この問題にもっと怒れ

 ほとんどの国民は、この民間企業給与平均所得と公務員給与平均所得の「格差問題」を、知らないのだ。これらは自民党だけの政治問題ではなく、与野党議員の1人ひとりの責任である。

 まずは、消費税減税よりも、この格差社会問題を解決することこそ、最優先の政治課題なのだ。解決には2つの方法しかない。公務員給与を下げるか?民間企業給与を上げるか?である。相当に難しい政治課題だが、避けて通る訳にはいかないのだ。

 ただし、もう1つだけこれらを解決する方法がある。それは「福岡IR」の誘致開発を実行することだ。民間組織の彼らは最初から直接または間接的に雇用予定(約2万人)の人たちには「米国水準での給与体系」で、これを実行すると公言している。

 ギャンブル依存症などを理由にして反対するネガティブな人たちに、これら新たな雇用戦略など生まれるはずはない。筆者は以前から解説しているが、今回の参議院選挙、大阪万博が終わったころから、残り2カ所の政府による二次申請受付日時が告知されることになるだろう。要はこの「福岡IR」がこの格差社会に大きな「一石を投じること」となる。

 従って、今回の参議院選挙も、誰もがリスクのないことばかりに終始し、いまいち盛り上がらず、上辺だけの与野党論争に終わり、マスコミも毎回同様の選挙結果報道に終始するだろう。

【青木義彦】

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