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2020年12月01日 17:20

1人ひとりが社会を動かすプレーヤーに 市民社会への変容が世界を変える(後)

 「ソーシャル」というキーワードをこれほど耳にした年はなかったのではないだろうか。しかし、今回は一世を風靡した「ソーシャルディスタンス」ではなく、本来の意味での「ソーシャル」に改めて注目してみたい。福岡に本拠を置き、ソーシャルビジネスの開拓と普及に力を注ぐ(株)ボーダレス・ジャパン代表取締役社長・田口一成氏に、今取り組むべきソーシャルビジネスとSDGsを含めたこれからの社会の在り方について聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス取締役 緒方 克美)

「自分たちが社会をつくる」 市民社会教育が急務

 ――日本人のほとんどは、地球温暖化などの環境問題や、少子高齢化や人口爆発などの社会問題に対しての意識が低いように思います。

 田口 教育の問題が、根本にあるのではないでしょうか。自分たちが社会の一員であり、社会をつくっているのは自分たちだということを教える教育、つまりシティズンシップについての教育が足りないと思います。

福岡オフィス

 選挙で投票に行かないのもそうですね。まず、我々の世代にそういう観点が欠けているのも問題です。社会で起きている出来事と、自分の生活を結びつけて考えられない。すべてを金銭的な損得だけで考えている、つまり人としての意志ではなく、財布の軽重で物事を判断する傾向があるのです。日本人は学校を卒業後、勉強する時間が非常に少ないと聞いたことがありますが、それだけ社会のことを知らない。それに気づいてもらうのが我々の役割だと思っています。

 いくら日本人が社会のことを知らないといっても、電気は毎日使うし、電気代は毎月払うじゃないですか。その電気を変えることで、CO2削減に貢献して社会を変えるという選択肢を、皆さんに届けたいと考えています。

 ――ここ最近、「資本主義の行き詰まり」という言葉をよく聞きます。これまでのビジネス自体が根底から問い直される時代になってきました。

 田口 株式会社という存在は、資本主義社会の縮図だと思います。資本家が株主として君臨していて、労働者が働くことで生まれた利益が株主のもとに戻っていく。最初にリスクを負った資本家が、ずっと利益をもらい続けるメカニズムを改めない限り貧富の差は拡大するばかりです。ボーダレス・ジャパンは、そのメカニズムを壊しました。定款に、はっきりと「株主配当の禁止」を謳っています。

 これまでの株式会社であれば、優秀な社員はなるべく内に囲ってしまおうと考えると思いますが、もっと自由でいいと思います。独立したい人は独立すればいいし、実際に独立した元社員たちを応援するために、アウトソース先として仕事をお願いしています。

 ――そもそも、資本主義の文脈のなかでSDGsを語ること自体どうなのか、という考え方もあります。

 田口 そうですね。SDGsのDはDevelopment、つまり「開発」。持続可能性を語りながら、どうしても開発を前提にしているところに課題感があります。これからは真剣に持続可能な社会を築いていく必要があると思います。個人でも企業でもまず始められる、入り口の1つが再生可能エネルギーです。SDGsを口にしながら、「安いから」と火力発電でつくられた電気を遣っているとしたらそれは矛盾ですよね。

 ――人々の意識も変わっていくのでしょうか。

 田口 変わってきましたね。とくにコロナの影響で、人々の行動様式が、強制的に根こそぎ変えられました。長時間通勤やオフィスへの出勤義務など、「それは本当に必要だったのか」と自分の生活と人生を振り返る良い機会になったのではないでしょうか。
 お金が稼げる、仕事があるから東京にいたけれど、リモートワークが可能なら東京に住み続ける必要もない、と東京から移住する人も増えました。これからも、人々の意識や生活様式は大きく変わり続けていくと思います。

(了)

【文・構成:深水 央】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田口 一成
所在地:福岡市東区多の津4-14-1(福岡オフィス)
設 立:2007年3月
資本金:1,000万円
売上高:(20/2)約54億円


<プロフィール>
田口 一成
(たぐち・かずなり)
1980年12月生まれ。3人兄弟の長男。西南学院高校・早稲田大学卒。大学2年のときに発展途上国で栄養失調に苦しむ子どもの映像を見て、ソーシャルビジネスに取り組むことを決意。現在、自らも「ハチドリ電力」など新しい取り組みを続けながら、年間100社のソーシャルベンチャーを立ち上げる仕組みづくりに奔走している。

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