2022年01月27日( 木 )
by データ・マックス

麻生グループの御曹司、麻生巌氏は、投資家・孫正義氏になれるか~日本の台所・豊洲市場の東都水産に友好的TOBを実施(2)

 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は投資家であり、10兆円ファンドを組成して、スタートアップ企業に次々と投資し、活躍の場を世界に広げている。筑豊の名門、麻生グループの御曹司、麻生巌氏は株式市場で活躍しており、日本の台所、豊洲市場の東都水産(株)に投資する。麻生氏は第2の孫正義氏になれるか。

改正卸売市場施行で、販売先が広がる

 卸売市場に関する改正法が、6月21日に施行された。法改正の目玉は、国の認可制だった中央卸売市場の開設が、一定の基準を満たせば、民間企業でも可能な認定制になったことだ。市場外流通、産地と消費者の直接取引、ネット取引の拡大などで市場離れが続くなかで、市場の活性化と効率化を強化するのが狙いだ。

 取引ルールも緩和された。卸が集荷した生鮮食料品を仲卸や売買参加者以外への販売を禁じる「第三者販売の禁止」や「直荷引き(じかにびき)禁止」が廃止された。

 これまで大卸は食品加工会社に食材を直接供給できず、市場外に設けた別会社経由で供給せざるを得なかった。規制緩和によって、大卸は仲卸以外に量販店に直接売ることができるようになる。仲卸は産地から直接仕入れて輸出したり、料理店や小売店に直送したりできるようになる。注文・決済は市場においてなされるが、商品は直送される。新商品開発や販路開拓が自由に行いやすくなり、今後、市場取引が増える。消費者への直販事業を立ち上げようとする大卸もいる。

マルハニチロは大都魚類を完全子会社

 改正法施行は、業界の淘汰を促す狙いもある。市場規模が半分に縮小したのに、豊洲の大卸7社、仲卸480社は多すぎる。生き残りを賭けて、再編へ動き出した。

 豊洲市場で上場している水産卸会社は、中央魚類(株)、東都水産(株)、大都魚類(株)、築地魚市場(株)の4社ある。

 法施行を契機として、水産最大手マルハニチロ(株)が3月30日、水産卸大手の大都魚類を完全子会社化すると発表した。子会社などを通じて約50%を出資しており、TOBを実施して全株式を取得する。買い付け価格は1株あたり1,225円。5月21日にTOBが成立し、完全子会社して、東証二部上場は廃止となった。

 大都魚類は東京都指定の卸業者で、豊洲市場では水産物のセリなどを手がける。マルハニチロは「原料調達や海外輸出など将来的な展開を考えた」と完全子会社化した狙いを語っている。

東都水産会長で、三陽(福岡市)の長谷幸一郎社長が動いた

 東都水産会長で、九州が地盤の水産大手、(株)三陽(福岡市)の長谷幸一郎社長が動いた。長谷氏は法改正について、「民間の参入や流通の効率化が促進され、良い意味で市場が活性化する。消費者にうまい魚を届けながら、生産者をもっともうからせてあげたい」と商機到来を歓迎するコメントをメディアに出した。

 長谷氏とは、どんな人物か。データ・マックスのNet I・B News(20年1月16日)に掲載された「従来の業界イメージを覆し高収益の近未来型水産業を体現――(株)三陽」から引用する。

 〈旧態依然とした水産業界に風穴を開けよう。いや、すでにポッカリと大きな穴を開けたと言っても過言ではないのが、福岡市中央区長浜に8階建ての自社ビルを構える(株)三陽だ。同社の歴史は1991年に始まる。現代表取締役・長谷幸一郎氏が、たった1人で興した(株)三陽商店が前身だ。

 市場で魚を仕入れるには買参権という特別な権利を手にしなければならない。水産業界における絶大な既得権だが、当然、後発の長谷氏にはそんなものはない。そこで知恵に知恵を絞り打った手は、関東の小売業者に直接卸していこうという奇策である。仲買を通さないから多少高く買った魚でも利益が出る。労力を必要とするから誰も真似しない。しかし、この奇策が同社発展の起爆剤になる〉

 〈着実に力をつけた同社は、やがて当初の狙い通りに買参権を獲得。同業他社が仲買人に頼るなか、川上から川下までという独自の販売網を武器に驚くべき躍進を見せるのだ。

 (中略)

 佐賀県唐津市の(株)マルサンフーズ、長崎県松浦市の(株)ウエストジャパンフーズ、福岡市鮮魚市場の地元仲卸業である(株)魚伸、本社自社ビルを始めとしたグループ所有不動産の管理を手がける(株)サンヨウサービス、そして海洋漁業を手かける海興水産(株)を加え、5社のグループ会社が、それぞれの強みを生かし有機的に結びつくことで、単体ではできないビジネスを一体となって推進している。

 また、17年には東証一部上場の水産物卸会社、東都水産(株)の筆頭株主として長谷氏が取締役に就任した〉

(つづく)

【森村 和男】

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