2024年04月30日( 火 )

【凡学一生の優しい法律学】真の民主国家を目指して(3)

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7. 国民に必要な優しい法的知性

 法律は「共有できる客観的な常識」を根幹としていると述べたが、それは人間の人類の科学と称する知的活動・成果・歴史の根幹でもある。日本の法学では法哲学は何か別の範疇、形而上学的体系の学問と考えられていることが、西洋ないし世界の法学の基本構造と根本的に異なる点である。

 法哲学は人間の知的認識行為の根源について探求する学問であるが、それは「共有できる客観的な常識、認識」の体系にほかならない。万人が共有できる常識であるため、国民が使用する言語による表現、共通の理解が成り立つ平易な概念であることが必要だ。

 法律が難解な日本語で記述されている、という事実が権威主義的世界をすでに意味しており、客観的で共有できる常識の成立を妨げるため、正当性のない学問体系であるとの非難が妥当する。
 そこで、本稿では、法匪(※)がことさらに難解に構築した諸法体系を国民のものとするための「解読」作業を行うことになる。

8. 当面の課題

 本稿は日本学術会議の委員の選任における「推薦無視」という総理大臣の違法行為をその議論の端緒としているため、その問題の解決のための「優しい法律学」となる必要がある。さらに、前述のように、当面は総理大臣の違法行為に対する野党の国会議員のとるべき法的手段が主題となる。

 ここからは議論を正確な論理体系に適合させるため、いくつかの論理概念を使用しなければならない。この作業こそ、「法律を常識で考えてはいけない」という訓示・命題の本旨に該当する部分である。

 正確な概念定義やその使用は、論理性の整合性を確認するためのものであり、根幹的常識による理解や、根幹的常識の存在を否定するものではない。最終的な理解は読者の常識に依存している。

※ 法律の文理解釈に固執し、自分に都合のいい結果を得ようとする、民衆をかえりみない者。

(つづく)

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