2024年04月26日( 金 )

林芳正参議院議員~衆院(山口3区)へのくら替えを決断か(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 【表1】を見ていただきたい。山口県の小選挙区選出の衆議院議員の経歴図である。
~この表から見えるもの~
◆山口県選出の衆議院議員は4名。「保守王国」を物語るように全員が自民党所属であり、4名のうち3名が後継の指名を受けて、国会議員を世襲している。
◆山口1区は高村正大(50歳)議員。麻生派で二世議員。父親は高村正彦元衆院議員。
◆山口2区は岸信夫(61歳)議員。細田派で二世議員。実父は安倍晋太郎元衆議院議員で安倍晋三前総理の実弟。岸信介元総理の息子である岸信和氏に子どもがなかったため、養子となり岸家を継いでいる。安倍政権の継承を掲げて昨年9月16日に発足した菅内閣の防衛大臣に迎えられている。
◆山口3区は河村建夫(78歳)議員で二階派。1976年(昭和51年)、父の河村定一氏の死去にともなう山口県議会議員補欠選挙(萩市選挙区)に自民党公認で出馬し初当選。以後4回連続当選。
・90年2月19日、引退表明した田中龍夫議員の後継として第39回衆議院議員総選挙に旧山口1区(定数4)から自民党公認で出馬し当選。以後9回連続当選。4名のうち1人だけ二世議員ではない。
◆山口4区は安倍晋三(66歳)議員。細田派で二世議員。91年、父の安倍晋太郎氏が急死。93年に父の地盤を受け継ぎ、第40回衆議院議員総選挙に旧山口1区から出馬し初当選。
・2006年9月20日、小泉純一郎総理の任期満了にともなう総裁選で麻生太郎議員、谷垣禎一議員を大差で破って自民党総裁に選出され、9月26日の臨時国会で第90代内閣総理大臣に指名された。戦後最年少で、戦後生まれとしては初の内閣総理大臣に就任。以後、第96、97、98代 の内閣総理大臣を歴任。
・第1次安倍内閣は06年9月26日~ 07年9月26日までの366日。
・第2次~第4次安倍内閣は、12年12月26日から安倍首相が辞任する20年9月16日までであり、連続在任日数は2,822日。通算在任日数は3,188日で、いずれも憲政史上最長を記録している。

▲クリックで拡大▲
▲クリックで拡大▲

 【表2】を見ていただきたい。山口県の参議院議員の経歴図である。
~この表から見えるもの~
◆山口県選出の参議院議員は林芳正氏と江島潔氏の2名。2人とも自民党所属。
・江島潔議員は細田派の二世議員。下関市長から参議院議員へ転出。父親は江島淳元山口県選出参議院議員。
・林芳正議員は岸田派の二世議員。1995年7月23日に実施された参議院議員選挙の山口県選挙区において、34歳の若さで初当選。以来4回再選され25年間在任し、現在59歳。参議院議員のままでは国のリーダーを目指すことはできない。周囲からも衆議院議員へのくら替えを望む声が高まっている。

▲クリックで拡大▲

<まとめ>
 山口県の衆参議員のポストはほとんど世襲制となっている。山口3区のみが今のところ世襲ではない。河村建夫議員は78歳と高齢であることから引退して、子息である河村建一秘書を後継者に指名する考えだったと推測される。しかし新人として立候補する場合は、3区へのくら替えを目指す林芳正参議院議員と公認を争うことになる。二階幹事長は現役優先を掲げており、河村建夫議員は老体に鞭打って立候補せざるを得ない状況になっている。次の山口3区の衆議院選挙は身内同士が「血で血を争う」泥沼の戦いが展開することになりそうだ。

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

(後)

関連記事