2024年04月19日( 金 )

林芳正参議院議員~衆院(山口3区)へのくら替えを決断か(後)

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~立ちはだかる林芳正議員の衆議院へのくら替え~
◆自民党は内規で衆院比例代表候補の73歳定年制を定めているが、実質は骨抜きになっているのが現状。むしろベテラン議員から定年制廃止を求める声が挙がり、若手議員からは反発の声が挙がっている。
◆しかし、小選挙区選出の国会議員には定年制はない。和歌山3区から選出されている自民党の二階俊博幹事長は1939年2月17日生まれの81歳。
・二階幹事長は2020年10月4日、元官房長官の河村建夫議員(78歳)が宇部市内のホテルで開いた総決起大会に出席。次期衆院選の山口3区について「党が公認するのは1人」と現職で志帥会(二階派)会長代行の河村議員を推すと発言。同区へのくら替えが取り沙汰される林芳正参議院議員の名は口にしなかったものの、「反党行為をした人がどういう立場になるか、言わずともわかるだろう」と、強い口調で牽制したという。
・二階氏は一部の報道により林議員のくら替えが改めて浮上していることに対して、「売られた喧嘩という言葉がある。挑んでくるなら受けて立たざるを得ない」と語気を強め、さらに「今日は党の幹事長としての立場でも来ている」と語り、自身の発言の重さを強調したといわれる。
◆この日は二階幹事長をはじめ、志帥会から20人が応援に駆け付けた。伊吹文明(83歳)元衆院議長は「噂を心配してきた。万一のことがあっては困る」と述べ、林幹雄(74歳)幹事長代理も「党に弓を引くことになり除名になる。そういうおろかなことはしないと思う」と、念を押す発言を繰り返したと伝えられる。
◆林議員周辺によると、そんな逆風を打破しようと林議員も昨年末、かつて宏池会会長を務めた古賀誠(80歳)元幹事長と面会。また新年の6日には、都内の青木幹雄(86歳)元参院議員会長の事務所も訪問。青木、古賀両氏は議員を引退しているが、現在も政界に影響力をもっている2人に対して、山口3区について「地元の期待もある。精進したい」などと伝えたという。
◆林議員・父親の林義郎氏は比例代表選出(中国ブロック)の元衆議院議員。03年11月に実施された第43回衆議院議員総選挙には立候補せず、76歳で引退。このときに子息の林議員を後継指名しなかったことが、同氏の衆議院へのくら替えが長引いている要因となっている。父義郎氏は17年2月3日、89歳で没しているが、引退から13年余りの間、子息の衆議院へのくら替えを望み続けていたものと推測される。(注:年齢は21年1月15日現在)。
◆林議員が正式に衆院へのくら替えを表明すれば、自民党山口県連は大混乱することは必定と予想されている。

 【表1】を見ていただきたい。林議員が参議員から「くら替え」を決断しようとしている衆議院山口第3区の市長・町長の経歴図である。
~この表から見えるもの~
◆山口第3区の宇部市の人口は16万3,000人で、54.6%を占める大票田である。久保田后子前市長の体調不良による任期途中の辞任にともない昨年11月22日に投開票された宇部市長選は、林議員の元秘書だった篠崎圭二氏が県議を辞任し、自民党・公明党や連合山口などから推薦を受けて初当選している。また藤道健二萩市長、篠田洋司美祢市長も林議員の支援を受けて当選しており、河村議員にとって林議員の影響力は、座視できない状況になっているのが読み取れる。
◆その影響力を阻止するため、今年3月21日投開票予定の萩市長選に河村議員の実弟の田中文夫県議が立候補を表明。骨肉相食む激しい代理戦争が展開すると予想されている。

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(了)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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