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2021年01月27日 10:15

【長期連載】ベスト電器 消滅への道(10)

 かつて家電業界で日本一の売上高を誇ったベスト電器がヤマダ電機に完全に吸収された。なぜ、このように消滅するという事態になったのか!当社は長期にわたってベスト電器に関する記事を連載してきた。まず、ベスト電器がかつてビックカメラと合併しようと画策を講じたが、破談となった当時のことを報告する。

ベスト電器を買収するヤマダ電機の思惑(前)

(2012年7月17日掲載)

 次はどこか――。動いたのはガリバーだった。家電量販店最大手のヤマダ電機(群馬県高崎市)が7月13日、同業のベスト電器(福岡市)の買収を発表した。ベストが12月末までに実施する第三者割当増資を121億円で引き受けて47%の株を取得。ヤマダが従来から保有していた持ち株を合算すると、ベストに対する議決権比率の51%を保有する親会社となる。ベストを連結子会社した後のヤマダの売上高は2兆971億円となり、2位のビックカメラ+コジマ連合(9,824億円)以下のライバルを大きく引き離す。

 ヤマダとベストの関係は、因縁じみている。全国制覇を目指していたヤマダがベストの筆頭株主に躍り出たのは2007年。電撃的な株買占めに泡食ったベストは、ビックカメラ(東京都豊島区)と資本提携を結び第三者割当増資を実施。買収を防ぐ"ホワイトナイト"となったビックが持ち株比率15%の筆頭株主となり、ベストを持ち分法適用会社に組み入れた。

 しかし、具体的な提携策はほとんど進まなかった。社外取締役に就いていたビックの宮嶋宏幸社長は、今年の株式総会を機に「自社の経営に専念する」との理由で退任。ビックがベストから撤退することが確実になった。「中国企業がビックからベスト株を買い取るのではないか」との思惑から、証券市場ではベストの株価が急騰した。

 ところが、ベストを買収したのはヤマダだった。2位株主のヤマダによる買収は順当に見えるが、意外感は拭えない。近年のヤマダの買収は同業者ではなかったからだ。ヤマダはなぜベストの買収したのか?ヤマダを率いる山田昇会長は、どんな思惑があるのか?

スマートハウス事業の異業種買収

 エコポイントが始まる09年以前は、家電量販店の合従連衡の動きが活発だった。ビックとベスト争奪戦を繰り広げた07年に、ヤマダはぷれっそホールディングスの全株式を取得。傘下のマツヤデンキ、サトームセン、星電社を手に入れた。同業者を次々に買収していき、10年3月期には日本の家電量販店として初めて売上高が2兆円を突破した。
 「売上高3兆円」。次なる目標を掲げてから、買収対象を同業者から異業種へ切り替えた。

 5月11日。ビックカメラによるコジマの買収の話題で、流通業界は盛り上がった。だが、その前日、ヤマダが発表した買収は、関心をほとんど呼ばなかった。ヤマダが買収したのは、住宅設備機器の製造販売を手がけるハウステックホールディングス(HD)(東京都板橋区)。100億円で全株を取得して子会社化した。11年3月期の売上高は約550億円。売上高が1兆円に迫るビックとコジマの統合に比べれば、インパクトが弱いので無理はなかった。
 ヤマダが異業種買収に舵を切ったのは、昨年8月である。ハウスメーカーのエス・バイ・エル(以下S×L、大阪市)を、株式公開買い付け(TOB)と第三者割当増資の引き受けで連結子会社すると発表。買収費用は約84億円、議決権ベースで50.3%を保有した。

 3兆円の売上高を達成するために取り組んだのが、スマートハウス(省エネ住宅)事業。中古住宅を、太陽光発電や省エネ家電を組み込んだ住宅にリフォームして販売するもの。スマートハウス事業をさらに新築住宅に拡大する目的で、S×Lの完全子会社化に踏み切った。家電から住宅までの一軒丸ごとビジネスである。

 ヤマダの省エネ家電を一本化したスマートグリッド事業の売上高は、約500億円、S×Lの売上高も400~500億円で、両社の事業規模を合わせれば、約1,000億円になる。今後、両社のシナジー(相乗効果)を高めて、一気に3,000~5,000億円の規模に拡大する計画だ。

 山田昇会長は、ハウス事業は家電量販市場に比べて、「何倍も市場があり、非常に魅力的だ」と語っている。ハウステックHDの買収は、スマートハウス事業の一環だ。

 このように、ヤマダのM&A(合併・買収)はもっぱら異業種。同業者の買収に目を向けていなかった。同業者を買収しても、使いものになる店舗は少ない。自社で出店した方が、はるかに効率が良いと見なしていたからだ。

(つづく)

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