2024年03月28日( 木 )

目を覆うばかりの自公政権腐敗惨状

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本の主権者は菅内閣の暴走を阻止しなければならない」と訴える2月22日付の記事を紹介する。

日本の主権者は、自分たちが主権者であることに対する認識が希薄ではないか。
国民主権は憲法に明記されている。

憲法前文に
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」
とある。

菅内閣は東京五輪開催を強行しようとしている。
「国政」は「国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し」「その福利は国民がこれを享受する」ものだ。

日本の主権者の8割が今夏の五輪開催に反対している。
理由はコロナリスクを払拭できないことにある。

無理やり五輪を開催することは物理的には不可能でない。
しかし、五輪開催が日本の主権者に大きなリスクをもたらす。
コロナリスクは人の命に係わる問題。
最近まで年率換算で4万人の死者を発生させるコロナ死が続いていた。

それでも日本の被害は国際的に見れば著しく軽微だ。
欧米の人口当たり死者数は日本の30倍を超える。

ワクチン接種が始まったが、日本国民の多くがワクチン接種しない意向を有している。
リスクのあるワクチン接種を強要することはできない。
しかも、日本の主権者にワクチンが行き渡るのは2021年後半以降になる。
五輪開催にはまったく間に合わない。

五輪開催のリスクとは、海外から変異株が国内に持ち込まれること。
選手と関係者だけで1万5,000人以上の人が国内に流入する。
この人々の移動を完全に制御することは不可能だ。

1万5,000人を完全に室内に監禁することも不可能。
変異株の流入を阻止することは不可能だ。

感染力の強い変異株が流入する可能性がある。
ワクチンが有効性を持たない変異株が流入する可能性もある。
4月以降に感染第4波が発生するリスクもある。

「人類がコロナに打ち勝った証としての東京五輪」の可能性は消滅した。
コロナ感染が広がるなかで「人類がコロナに打ち勝つ結束を示す東京五輪」というのは愚の骨頂。
こうしたリスクを冷静に判断して、日本の主権者が今夏の五輪開催に反対している。

この主権者の意思を無視する正当性を内閣が保持しているのか。
菅内閣が五輪開催を強行しようとしている最大の理由は、衆院総選挙を自公に有利にするためだ。

五輪開催を強行して盛り上がれば選挙に有利になる。
しかし、そのために日本国民に重大なリスクが降りかかる。
コロナで重篤化する人、死亡する人の数は多くないかも知れない。

しかし、自公が選挙を有利にするために国民にリスクを負わせることが正当な行為と言えるのか。

政府の最大の役割は国民の命と暮らしを守ること。
五輪開催強行が国民の命と暮らしをリスクに晒すなら、五輪開催を断念することが正当な判断である。

自公政権は五輪を「復興五輪」だと言った。
しかし、東日本大震災の被災者、原発事故の被害者は、自公政権によって棄て去られている。

安倍前首相は「アンダーコントロール」というウソを世界に流布した。
フクシマ原発事故はいまなお収束していない。
11年3月11日に発せられた「原子力緊急事態宣言」は、いまなお発出されたままだ。

原子炉等規制法および放射線障害防止法によって一般公衆の被曝上限は年間線量で1ミリシーベルトと定められている。
ところが、「原子力緊急事態宣言」によって、この法律が無効化され、原発事故被害者は年間線量20ミリシーベルトの被ばくを強制されている。

この措置のどこが「復興五輪」の名に値するものなのか。
日本の主権者は菅内閣の暴走を阻止しなければならない。

自公政権の失態が続いている。
あまりに多すぎて記憶し切れないほどだ。
昨年秋の臨時国会では安倍前首相の桜疑惑が一気に拡大した。
安倍氏が国会で虚偽答弁を繰り返していたことが明らかになった。

桜を見る会前夜祭は参加者がホテルと契約を結んで実施したもので安倍事務所は経理に一切関与していないと安倍氏は繰り返し国会で答弁した。
ところが、実際には安倍事務所がホテルと契約し、前夜祭を実施していたことが明らかになった。

参加者が支払った参加費は前夜祭の費用を賄っておらず、安倍氏の資金管理団体が不足分を補填していたことも明らかになった。
安倍氏は、不足分は会場費で公職選挙法違反には該当しないと主張しているが、明細書が示されていないために事実を確認できない。

国会は国政調査権に基づいて前夜祭明細書ならびに領収書等の関係書類の提出を求めるべきだ。
今次通常国会で安倍前首相の桜疑惑を解明することが必要である。
安倍氏は不起訴処分になったが検察審査会に審査が申し立てられている。
審査を申し立てたのは弁護士などの法律専門家である。

菅氏はコロナ感染抑止を目的に多人数での会食を控えることを国民に求めた。
遅ればせながらGoToトラベルの全国での停止を12月28日から実施することを決めた12月14日、菅首相は高齢者ばかり8人による銀座ステーキ店での忘年会に参加した。

自民党国会議員3名が銀座でクラブ関係の女性と会食後に深夜まで銀座クラブに滞在したことも発覚した。

当初、週刊誌で報道された衆議院議員の松本純氏は陳情を受けるため、閉店した店を単独で訪問したと会見で明らかにしたが完全虚偽だった。
クラブ関係者と5名で会食、飲酒し、営業しているクラブをはしごしたことが判明した。
週刊誌に証拠を突き付けられるまでウソを突き通した。

これと別に、同じく銀座クラブで深夜まで遊び歩いた公明党の遠山清彦衆議院議員は議員辞職に追い込まれた。
さらに、自民党衆議院議員の白須賀貴樹議員は東京港区麻布十番の高級ラウンジの女性と会食したのち、高級ラウンジを深夜に訪問したことが明らかになった。

国民がコロナ感染収束に向けて血のにじむ努力を注ぐなかで、税金によって高額の歳費を受けている自公国会議員が制御不能の暴走に突き進んでいる。

自民党国会議員の逮捕、起訴も相次いでいる。
IR汚職では自民党衆議院議員の秋元司氏が逮捕、起訴された。
逮捕後に証拠隠滅まで図り、再逮捕、起訴される事態に発展している。

自民党の元農林水産大臣である吉川貴盛氏は大手鶏卵生産会社アキタフーズから現金500万円の賄賂を受領した疑いで在宅起訴された。

重大な汚職事件の嫌疑で立件されたにもかかわらず、逮捕されなかった。
検察、警察が政治権力側の上級国民を逮捕しない事例が相次いでいる。

自民党衆議院議員の河井克行氏と同元参議院議員の河井案里氏は公職選挙法違反で逮捕、起訴され、河井案里氏の有罪が確定した。
本来であれば、すべての事案について、国会による証人喚問や参考人招致が必要な重大事案だ。

とりわけ、安倍晋三氏の桜を見る会前夜祭への関与は重大である。
まずは、前夜祭明細書の国会への提出が求められる。

さらに、菅義偉首相の長男による総務省幹部への接待問題が浮上した。
菅義偉氏が強い影響力を持つ総務省幹部が利害関係者である東北新社子会社の役員を務める菅正剛氏から頻繁に接待饗応を受けた問題。

総務省幹部は利害関係のある会話をした記憶がないと国会で答弁した。
ところが、週刊誌が音声データという動かぬ証拠を提示すると一転して、利害関係のある会話を行ったことを認めた。

動かぬ証拠が突き付けられるまでウソを突き通す。
この行動様式は安倍晋三氏が広く世間に知らしめたもの。
総務省幹部が同じ行動を取っている。

自公政権は骨の髄まで腐りきっている。
その腐りきった自公政権が、選挙に有利に作用するとの理由で、国民に生命の危険をもたらす五輪開催を強行することを許してよいのか。
よいわけがない。

主権者国民の示威行動によって五輪開催中止に導かねばならない。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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