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2021年03月26日 14:00

人類は進化する人工知能(AI)との戦いに勝てるのか?(中)

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。今回は、2021年3月26日付の記事を紹介する。

   ほかにも、「マイクロソフト」の創業者ビル・ゲイツ氏も人類や地球の行く末に関しては危機感を露わにしている。同氏は毎年のごとく、未来予測を公表しているが、最新版を見ると、「人類の未来は未知なる危機との闘いの連続」で、「このままでは、人類の生存は危うい」との思いを明らかにしている。

 とくに注目すべきは、「地球温暖化の影響で、氷解した凍土から死んだ動物の未知なる病原菌が復活し、かつてのスペイン風邪のような猛威を振るい、億の単位で人命を奪う」との未来図だ。18世紀から19世紀にかけまん延した病原菌も再び人類に襲いかかる恐れが出てきた。現在、世界を飲み込む勢いを見せている新型コロナウィルスも同様である。

 今や北極や南極の氷が溶け出しているくらいだ。かつて伝染病で亡くなった人や動物が埋められた墓地や埋葬地から、亡霊の如く感染症の遺伝子が再生する可能性も高くなっている。予防ワクチンや治療薬の開発と配布が欠かせないだろう。

 とはいえ、最悪の場合には、現代版「ノアの箱舟」計画が必要になる。ゲイツ氏はこうした危機的状況を先取りし、ノルウェーのスピッツベルゲン島に人類救済のための種子の保存を目的とした地下基地を建設しているほどだ。さらには、アメリカ各地で農地を買い占め、今や、アメリカ最大の農地所有者になっている。

 杞憂にすぎなければ良いのだが、冷静に今日の世界情勢を分析すれば、故ホーキング博士やゲイツ氏の危機感や厳しい見通しに耳を傾ける必要があると思われる。そして日本でも身近なところで、そうした危機的状況の萌芽を感じることもできる。

 実はアメリカでは、国防総省(ペンタゴン)が音頭を取り、未来の戦場で活躍するロボット兵士、別名「キラー・ロボット」の研究が急速に進んでいる。毎年のように、ペンタゴンの国防先端技術開発庁(DARPA)主催でキラー・ロボットのコンテストが実施されており、民間の優秀な頭脳をゲットしようとするアメリカ政府の意図が明確に打ち出されているわけだ。日本を含む世界各国からロボット工学の専門家を自負する大学生や若きエンジニアのチームが参加している。

 この「ロボティックス・チャレンジ」と呼ばれる競技大会では、ペンタゴンが未来の戦場で導入を図りたいと構想している各種のロボット関連技術が競われる仕掛けになっている。優勝チームには2億円を超える報奨金が授与される。飲まず、食わず、休まず、不平も言わず、働き続けるロボット兵士の実用化が目前に迫っていることを実感させるイベントである。

 現在、世界80カ国で殺傷能力をもつロボットの研究開発が進んでいる。その背景には、「将来の戦争においては、ロボットが主役になる」ということが確実視されているためであろう。我が国においても新設された防衛省の防衛装備庁が目的として掲げる主要な研究テーマのなかに「防衛技術のスマート化・ネットワーク化・無人化」がきっちりと組み込まれている。概ね20年後の将来の装備品のコンセプトをまとめ上げ、その実現に向けての研究開発のロードマップつくりがすでに始まっているといえよう。

 いうまでもなく、我が国はロボット技術に関しては民生分野において、世界をリードする立場にある。『鉄腕アトム』『鉄人28号』『エイトマン』『ドラえもん』など漫画の世界から始まり、自動車や半導体の製造工場はいうまでもなく、介護や癒し系の人型ロボットの実用化に関しては、世界を圧倒する技術の蓄積を誇っている。ペッパー君が銀行やホテルを舞台に接客で愛嬌を振りまいている国はほかにはないだろう。「デュアル・ユース」と呼ばれる民生技術を防衛装備として活用する動きは当然の流れになろう。日本政府では新たな輸出産業に育てる戦略を構想中だ。

 「インパクト」と呼ばれる「革新的研究開発推進プログラム」に代表されるように、日本では防衛省が音頭をとり、内閣府、経産省、環境省などほかの政府機関が推進する国内の先進技術育成プログラムのなかから、デュアル・ユース技術として利用できる可能性を徹底的に追求しようとする方針が打ち出されている。

 新たにスタートした防衛装備庁においては、最大の同盟国であるアメリカの先端技術開発庁(DARPA)や防衛分析研究所(IDA)、国防契約管理庁(DCMA)などと情報交換や人的交流を深めることで、ロボット関連技術についての日米の共同研究開発も視野に入れている。テロ対策にもロボット兵士の活躍が期待されているようだ。

 民間の分野においては、Googleが進めるGPS機能を活用した無人自動車が注目を集めているが、国防の分野においては自立型無人航空機など、無人装備品の研究が着実に進んでいる。そして、両者の融合が差し迫った課題となっていることは論を待たない。こうしたニーズを先取りするかたちで、Googleは世界中のロボット技術会社を買収し、ニュービジネスの中心に据えようとしている。Googleはすでにヒューマノイド・ロボットの販売を本格化させつつある。


著者:浜田和幸
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