紛争の末、傾斜マンション「ベルヴィ香椎 六番館」の建替え工事がスタート(前)
2021年4月6日 16:26
建物の傾斜が原因となり、販売JV(ジョイントベンチャー)による建替えが決定していた福岡市東区の分譲マンション「ベルヴィ香椎 六番館」で、このほど建替え工事が開始された。
4月から22カ月の工期
「ベルヴィ香椎」は8棟で構成される団地型のマンション。建物の傾斜が判明した「六番館」は、1995年に竣工した鉄筋コンクリート造7階建ての全60戸。JR香椎線舞松原駅やスーパーから徒歩1分という恵まれた立地だ。
「六番館」は竣工後2年も経過しないころから、建物に多数のひび割れが発生し、その後も不具合が次々と発生。建物を支える基礎杭が支持地盤に届いていないことも判明した。
建物の傾斜により最大10.1cmの高低差が生じ、「玄関ドアの開閉がしづらい」「ひび割れが大きく、反対側から光が漏れてくる」などの支障も出ていた。欠陥が明らかだったことから、テレビのワイドショー番組でもたびたび取り上げられ、全国的に知られていた。
マンションを販売した3社(若築建設・JR九州・福岡商事)によるマンション建替えの決定後、居住者の仮住まいへの転居も進み、4月1日から22カ月の工期で建替え工事が開始された。

「六番館」の建替え費用は約20億円と見込まれ、このうち3分の2を若築建設、3分の1をJR九州が負担することになっている。JR九州の負担分は、子会社の九鉄工業が負担する。
JR九州の負担分をすべて子会社に負担させることや、販売JVの1員である福岡商事(福岡銀行の子会社)が建替え費用を負担しないことなどに疑問は残るが、「六番館」の区分所有者たちは、建替えにより瑕疵のないマンションを取り戻すことになる。
(つづく)
【桑野 健介】
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