2024年05月21日( 火 )

予想される再エネ市場の拡大、カギ握る米中の政策

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 米中両政府は4月17日、気候変動に関する共同声明を発表した。中国が温室効果ガス排出削減に向けて、2060年までに「カーボンニュートラル」(実質的に二酸化炭素(CO2)の排出量ゼロを目指す)の目標を達成するためには、石炭火力発電から太陽光や風力などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)への転換が求められる。米中ともに22日から開催中の気候変動サミットに参加した。

 気候変動の原因とされるCO2の排出量は、1位が中国で9,258トン(28.2%)、2位が米国で4,761トン(14.5%)、3位がインドで2,162トン(6.6%)と、米中両国で世界の40%以上を占める。CO2主要排出国である米中が脱炭素を目指す姿勢を示したため、再エネへの投資や電気自動車(EV)の普及など、脱炭素に向けた動きはさらに加速すると予想される。

 菅首相とバイデン大統領は16日の日米首脳会談で、気候変動対策のための国際的な枠組みである「パリ協定」の履行に向けて、日米で協力していくと発表した。米国は、中国と経済面のつながりが深い日本と連携することにより、米国主導で中国に脱炭素化を促す狙いがあるとみられている。

 米中日の3カ国は、パリ協定に基づく50年のCO2排出実質ゼロの達成に向けて、気候変動サミットで30年の削減目標を見直すことにより、脱炭素化を目指していることを世界に発信し、再エネの普及といった脱炭素政策を後押しすると考えられる。

 これらの動きから、米中日の再エネ推進政策により、各国の再エネ市場の拡大が予想される。世界の再エネ市場は、導入量ベースで1位の中国が50%以上を占め、2位の米国が10%強で続く。再エネ発電設備やEVの生産・輸出についても、今後、米国と中国が打ち出す脱炭素政策に大きく左右されることは必至だ。

 また、中国は太陽光発電のソーラーパネルで6割以上のシェアをもつなど、再エネ発電設備の主要生産国。このため、脱炭素の推進は再エネ投資を拡大するとともに、中国経済にも大きなプラスの影響を与える可能性が高い。

世界の二酸化炭素排出量(2017年)
世界の二酸化炭素排出量(2017年)

【石井 ゆかり】

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