2024年04月20日( 土 )

【熊本】産官学で総力を挙げて「新しい熊本を創る」(前)

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熊本商工会議所 会頭 久我 彰登 氏

危機のたびに深まる信用

 ――まず、熊本商工会議所の概要についてお聞かせください。

熊本商工会議所 会頭 久我 彰登 氏
熊本商工会議所 会頭 久我 彰登 氏

 久我 当会議所は1879年12月、熊本商法会議所として全国で9番目に設立したのが始まりで、設立当時は西南の役(西南戦争)によって灰燼に帰した町の復興や、疲弊した経済の立て直しに尽力したとされています。以来140年以上にわたって、熊本の経済がより発展していく手助けとなるため、地場企業の経営支援はもちろんのこと、国や県・市への提言・要望活動や、まちづくりへの取り組みなど、地域の抱えるさまざまな課題解決に取り組んできました。現在の会員数は6,943事業者(2021年2月15日現在)で、市内の全事業者数に対する会員数の割合は約30%弱と、政令指定都市のなかでは高くなっています。

 ――熊本地震から5年になりますが、震災後の会員数の増減などはいかがでしたか。

 久我 震災後も会員数が減ることはなく、むしろ少し増加しました。というのも、会議所が会員向けに提供している各種サービスなどの価値が、震災を機に改めて見直されたようです。

 実際に当会議所では、震災発生の翌日から特別相談窓口を開設し、補助金や助成金制度、り災証明の取得に関するご相談のほか、資金繰りや雇用問題などの事業再開に向けた具体的な相談にもきちんと対応してきましたし、何よりも会員事業者の方々の漠然とした不安に真摯に寄り添ってきました。発災2カ月後には地震型の小規模事業者持続化補助金の公募が開始されましたが、その際には相談スペースに入りきれないほど多くの方々が来所されました。その際、全国の商工会議所から職員が応援に駆けつけてくれ、当会議所としても商工会議所の連携力を改めて感じた次第です。

 その後も、「くまもとがんばるモン復興応援事業」などの中心商店街の賑わい回復に向けた取り組みや、熊本の観光振興に向けたさまざまな取り組みを行ってきました。現在、熊本地震の復興はある程度落ち着いてきましたが、これからという矢先に、今度は新型コロナというかつてない混乱と危機に直面しています。

 ――コロナ禍においては、どのような事業者支援の取り組みを行っているのでしょうか。

 久我 コロナ禍で、熊本市内でも多くの中小事業者が疲弊するなか、当会議所でも特別相談窓口を開設し、小規模事業者持続化補助金や持続化給付金などの支援制度や、国や県の対策融資などの相談に応じるほか、独自に「お店に行こぅバイ!キャンペーン」などの事業者を応援する取り組みを行ったり、ポストコロナを見据えたICT活用の経営セミナーを開催したりしています。また、日本商工会議所や県内経済団体と連携して、国や県・市への要望活動も行っており、雇用調整助成金の助成率引き上げや持続化給付金の創設などに尽力してきました。

 ただ、熊本地震のときの物理的な被害と違って、感染症という消費行動そのものが制限されてしまうという先が見えない事態に直面し、残念なことに廃業を選択される事業者の方も増えています。もともと中小事業者では、事業承継の問題を抱えているところも多くありましたが、今回のコロナ禍で事業者の皆さんも弱気になり、事業継続の意欲を失ってしまわれるようです。当会議所としても、こうした状況は何とかしていかなければなりません。

(つづく)

【坂田 憲治】


<プロフィール>
久我  彰登
(くが・あきと)
1955年12月、熊本市出身。宮崎大学農学部卒業後、78年に(株)鶴屋百貨店に入社。2001年取締役、09年取締役総合企画部主管兼業務部主管を経て、11年に代表取締役社長に就任した。21年5月に代表取締役会長に就任予定。熊本商工会議所では副会頭を経て、19年3月に会頭に就任し、現在2期目。

(後)

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