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2021年08月23日 17:00

【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(10)~利用制限型による九州北部3空港の棲み分け

C&C21研究会 理事 下川 弘 氏

 かつて羽田空港は、首都圏における唯一の民間空港として利用されていた。しかし、高度経済成長にともない空港利用客数が増加して容量限界に達したため、1978年5月に新たに成田空港(当時の名称は新東京国際空港)を開港して国際線を移管。国際線は成田空港、国内線は羽田空港という棲み分けを行った。

 しかし、韓国やシンガポールなどに24時間利用可能な巨大空港ができたことで、国際競争力の低下を懸念した政府が2007年、「アジア・ゲートウェイ構想」を打ち出した。これを受けて、トランジットなどの不便さを解消するため、羽田空港を再国際化した。

 仮に九州北部3空港を、「羽田空港:国内線」「成田空港:国際線」のように、「福岡空港:東京・札幌・大阪・沖縄などの基幹路線専用空港」「北九州空港:国際線専用空港」「佐賀空港:九州圏・他ローカル路線専用空港」と、各空港の利用制限をして棲み分けを行ったとする。

九州北部3空港の位置関係と利用制限(仮定)の例
九州北部3空港の位置関係と利用制限(仮定)の例

Map data (c) OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA /一部加筆

 しかし、下記のように、利用者、航空会社、そして経済界のそれぞれの立場を考えると、メリットが少ないうえ、さまざまな課題が発生することが想定される。つまるところ、利用制限型の方法による九州北部3空港の棲み分けは、難しいと言わざるを得ないだろう。

利用者にとって
 トランジット客は、便利な仁川国際空港や関西国際空港などを利用し、北部九州でのトランジット利用は激減するだろう。一般利用客は、余計な時間と費用をかけては利用しないものである。

航空会社にとって
 航空自由化(オープンスカイ)の状況下で、福岡の航空路線が思惑通り移る保証はない。むしろ、福岡に入りたいエアラインは、北部九州への路線を敬遠するかもしれない。

九州北部経済圏にとって
 福岡都市圏の居住者や来訪者にとっては、利便性が著しく低下。住民生活や企業活動などに、さまざまな悪影響をもたらすであろう。

(つづく)


<プロフィール>
C&C21研究会 理事 下川 弘 氏下川 弘(しもかわ・ひろし)

1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。

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