来春、青果市場跡地再開発が完了「博多SOUTH」はどう変わるか！？（1）

22年春開業予定、大規模商業施設が誕生

　福岡市博多区那珂の青果市場跡地で、大規模な工事が着々と進んでいる。

　同地においては、福岡市が実施した「青果市場跡地活用事業」の事業者公募における三井不動産（株）、九州電力（株）、西日本鉄道（株）の3社で構成される事業コンソーシアムによる提案を経て、3社共同で設立した特別目的会社（博多那珂6開発特定目的会社）が土地を取得。その後、2020年11月に「（仮称）福岡市青果市場跡地活用事業」が着工となった。

　今回の「（仮称）福岡市青果市場跡地活用事業」では、敷地面積約8万6,600ｍ²にS造地上5階・地下1階建の店舗棟と、S造地上7階建の立体駐車場棟2棟などを建設。全体の延床面積は約20万6,400ｍ²で、駐車場台数は約3,050台を確保する。

　店舗棟には、ファッションや雑貨、飲食などの一般的なテナントをはじめ、ファミリー層をはじめとした幅広い世代が楽しめる施設を目指すとしている。また、建物屋上などの敷地全体に、それぞれコンセプトの異なる多彩で多機能な広場（パーク）を整備。フットサルコートやテニスコート、200mトラックなどを備えたスポーツパークなども計画されており、地域住民をはじめとした多様な人々が集い、出会う場を創出する。さらに、施設の防災・環境対応施策として、省エネ効果に優れた高効率機器の採用やエネルギー源の多重化などによって、環境負荷の低減を図るとともに、災害に強いエネルギーシステムを構築。また、前述の屋外広場の設置や、建物の開口を広く設けることでの自然換気の促進、非接触型の決済システムの導入などによって、ウィズコロナの新たな生活様式にも対応する。

　三井不動産は、「ファッション、雑貨、飲食、エンターテインメント施設等、話題性の高い店舗をそろえ、ファミリー層～シニア・ヤング層まで幅広い世代のお客さまが楽しめる、出会いと体験に満ちた新しい施設を目指します。また、各広場でのイベントや機能を目的に人々が集い新たな出会いと賑わいを創出し、地域の方々に愛される施設になれるよう計画を検討しております」と意気込む。

　今回誕生する新たな施設は、広場空間や商業機能を中核として、福岡・九州の魅力発信や周辺地域の生活の質の向上、開かれた場づくりなど、都市機能の充実への寄与のほか、福岡市のまちづくりにおける新たな拠点となることが期待されている。開業は22年春の予定だが、開業を機に周辺エリアの様相が一変し、都市・福岡にまた新たな魅力が付加され、活力や賑わい創出が期待されている。

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　来春に商業施設が開業予定の青果市場跡地を含めた博多区那珂のほか、隣接する竹下や東那珂、竹下、板付、諸岡などのエリアは、これまではどちらかというと市内の他エリアに比べて目立った動きが少なく、あまり注目されてきた場所ではなかった。だが、改めて注目してみると、JR竹下駅や福岡都市高速IC（半道橋、月隈、板付）などが近く、広域交通拠点である福岡空港や博多駅とも近接し、広域からのアクセスに優れている。また、古代から集落が形成された形跡が見られるなど、まとまった平坦地が広がっていることで、現在もエリア内には住宅や団地、工場などが集積。そのポテンシャルは、意外に高いといえよう。

　今回、東を御笠川、西を那珂川に挟まれ、南は福岡都市高速環状線あたりまでのエリア一帯を、仮に「博多SOUTH」と呼称して、その歴史や地域特性、今後の開発動向などを探ってみたい。

（つづく）

【坂田　憲治】