2022年06月26日( 日 )
by データ・マックス

韓日関係の真の和解と友好は九州から 九州の両国友好親善の基盤をさらに強固に(前)

 新型コロナウイルスの影響で人的往来が大幅に制限され、大きな影響を受けている九州―韓国関係。昨年、駐福岡大韓民国総領事として着任した李熙燮氏は、コロナ禍でも日韓社会の将来を展望し、草の根・民間レベル、自治体レベルで多分野の交流を促進することにより、日韓関係を先導することを提唱する。李総領事に話を聞いた。

日本業務に10数年従事

 ――着任されて約半年が経ちました。

李 熙燮 氏

 李熙燮氏(以下、李) 近年、韓日関係は難しい局面を迎えているうえに、新型コロナウイルスの影響により両国間の人的交流が大幅に制限されるという厳しい時期に総領事として着任することに重責を感じています。しかし、福岡をはじめ九州地域は、韓国と地理的に最も近く、古代から頻繁な交流が続いてきたという格別な歴史的背景と韓国との文化的な同質性を有する特別な地域です。加えて、日本のどの地域よりも韓国との交流が活発(2018年、延べ約300万人が往来)であり、喜ばしくもあり期待に胸を膨らませています。

 私はこれまで東京の大使館で2度勤務し、外交部入部後の1990年代初めの慶應義塾大学での研修を含めると日本での生活は約10年におよびます。外交部および大統領秘書室(大統領府)での日本関連業務を合わせると、外交官生活約34年の半分以上の期間で日本に関わる業務に携わってきました。

 これまで韓日関係には厳しい時期もあり大変なことも少なからず経験しましたが、長期的視野で見れば両国関係は多方面にわたって目を見張るほどの発展を着実に遂げており、やりがいも大いに感じています。これまで培ってきた韓日関係に関する知識と経験、そして日本国内の人的ネットワークを基に、福岡と九州の特性を生かした草の根民間交流や自治体間交流を活性化し、韓日関係の基盤をより丈夫にするように最善を尽くしていく考えです。

 また、在日韓国人が日本の地域社会への発展に貢献し、尊敬を受ける市民として幸せに暮らしていけるように、さらに、この地域を訪れる観光客・経済人・留学生などの韓国国民が安全にゆとりをもって在留できるように全力を傾注するつもりです。

 ――福岡、九州の印象はどうですか。

 李 福岡を中心とする九州は、古代から近代に至るまで諸外国から日本に入る際の玄関口であり、かつて大陸や朝鮮半島から渡来人と先進的な文物が九州を通じて日本に渡り、江戸時代には鎖国政策下においても長崎は外部世界との通路としての役割をはたすなど対外的に自由で開放的な地域だったと見受けられます。従って文化も日本の伝統的なものと異国情緒風とがうまく調和しているようです。韓国との関わりでは、佐賀県加唐島の百済武寧王生誕の地、神埼市の王仁神社、有田町の有田焼、宮崎県美郷町の百済の里、鹿児島県日置市美山地区の薩摩焼の沈壽官窯など九州のあらゆる所に百済以降の朝鮮半島との交流の足跡が点在しており、親近感を感じます。

 私は福岡の都市としての魅力には、有形の長所のみならず、無形のものも含まれると思っています。福岡では人々から「温もり」のようなものを感じます。このような「温もり」に惹かれて、韓国人がリピーターとして当地を訪れているのではないかと感じます。また、自然と都市の調和がとれた活気のあふれるまち並みであり、気に入っています。
 福岡県・市はポスト香港を念頭に置いて「TEAM FUKUOKA」を構成しています。これは福岡の開放的な雰囲気と特性を生かしたものであり、国際金融機能の誘致に成功し、名実ともに国際都市として躍進することを願っています。

友好親善を支える財産

 ――総領事館として今年はどのような取り組みを予定していますか。

 李 今年もコロナの影響が続き韓日交流は制限を受ける見通しですが、オンライン・オフラインの外交を併行していくことで韓日間の政治的関係の梗塞を緩和し、関係回復に向けた環境づくりのために多角的に努力していきます。

 コロナ禍以前、韓国-九州間には週に航空便18路線380便、旅客船3路線80便が運航し、延べ約300万人(18年)におよぶ活発な人的往来が韓日交流の中心的役割を担うとともに、九州の地域経済にも少なからず貢献してきたと思います。このような特性を生かして、韓国-九州間の草の根民間交流と地方自治体間交流がより一層活性化されるように多方面に力を傾けるつもりです。このことが韓日間において、いかなる政治的困難にも揺るがない友好親善関係の丈夫な土台を築くと堅く信じています。

(つづく)

【茅野 雅弘】


<プロフィール>
李 熙燮(
イ・ヒソプ)
1962年生まれ。85年延世大学校卒業、87年外交部入部。北東アジア課長、駐オーストラリア大使館公使参事官、駐インドネシア大使館公使、大統領秘書室勤務、駐日本国大使館公使などを経て、2020年11月に駐福岡総領事として着任。

(中)

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