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2021年06月21日 14:19

【スクープ】豊前市3セクが詐欺疑惑の取締役を解任 三原朝彦衆院議員の元「顧問」

 いったい何者だったのか?――福岡県豊前市が出資する第3セクターが5月に解任した取締役の正体について、関係者が一様に首をひねっている。衆院議員・三原朝彦氏の顧問も務めていたこの男性、近づいた組織でいつの間にか重要なポストに就く一方、誰もこの人物の素性を知る者はおらず、さらにその地位を利用した詐欺的行為を繰り返していた疑惑が浮上している。

誰も知らない~「三原朝彦衆院議員顧問」名乗る男性の素性

 豊前市の第3セクター「豊前開発環境エネルギー(株)」(以下、豊前開発/本社:豊前市、代表取締役:白石康彦)は、5月27日に開催された定時株主総会で、同社の取締役を務めていた「K」氏の解任を決めた。解任理由は、Kの活動が「豊前開発や同社関係者の名誉を棄損した」「豊前開発に迷惑をおよぼした」というもの。Kは同社設立当初からの株主・取締役で、都内銀座に本社を置く「N」社の代表を務めている(※N社HP上では、息子を代表取締役として表記)。さらに取締役就任時には、自民党竹下派で福岡9区選出の衆院議員、三原朝彦氏(74)の顧問も務めていた。

福岡県東部に位置する豊前市。大分県中津市に近い、人口約2.5万人の小さなまちだ
福岡県東部に位置する豊前市。
大分県中津市に近い、人口約2.5万人の小さなまちだ

 豊前開発は、パーム椰子殻を用いたバイオガス発電事業を目的に、豊前市も出資して2014年6月に設立された第3セクターで、九州電力などと連携した事業で灰処理や環境整備を担当する計画を進めていた。

 豊前開発の関係者によると今年3月ごろから、Kによる詐欺被害にあったとする訴え(内容証明郵便)が複数、同社に届いていたという。訴えの内容は、Kが豊前開発が第3セクターであることをことさらにアピールしたうえで、同社常務取締役などの肩書を名乗って信用させ、高利を約束して出資を募ったなどというもの。豊前開発の経営幹部らはこうした事態を重くみて、事実関係などを調査したうえでKの解任に踏み切った。

左:豊前市の第3セクター、豊前開発環境エネルギー(株)
右:Kが顧問を務めていた、三原朝彦衆院議員(福岡9区選出)

 同社幹部の1人は、「当社はまだ配当も出ない状態で、高利を条件とした出資という話は初めて聞いた」と話している。6月に入ってKに解任を伝えた際には、「K氏はかなり異議を申し立てた」(同社、片桐達朗・専務取締役)という。「少なくとも(Kに対する)問い合わせが相次いで事務方の手を煩わせ、事業を滞らせたことは事実。こちらは決定事項を伝えるだけなので、最終的には納得していただいたという認識だ」(同)。

 豊前開発設立の経緯に詳しい関係者によると、Kは同社相談役の知人である医師「N氏」を介して豊前開発への出資を持ち掛けてきたという。N氏は久留米大学医学部出身で、古賀市の医療法人理事長を務めていた。久留米大学附設高校の第1期同窓会長も務め、2012年11月に死去している。

 「恩人で人格者のN氏からの紹介だったので(Kのことを)信用してしまった。海外事情に詳しい人物、ということだったが、私自身はKについてまったく知らない」(豊前開発相談役)

 Kは豊前開発の取締役に就任する際に「住居はアメリカにある」と主張し、身元を証明する資料として米国・ビバリーヒルズの「住民票」なるものを提出しているが、実際は米国に住民票制度は存在しない。また、豊前開発の関係者と三原衆院議員事務所の関係者らはKの経歴について「大阪の出身らしい」ということ以外ほとんど把握しておらず、Kが代表を務めるN社の事業内容についても詳細に知る者はいなかった。

左:豊前市の第3セクター、豊前開発の取締役を解任されたK
右:三原衆院議員が2017年に当選した際も、Kは三原事務所に駆け付けた(KのFacebookより)

 結果的に、「顔のない男」が第3セクター取締役や衆院議員顧問に就いていたかたちで、KのFacebookにはいまでも、豊前市長と並んだ写真や三原衆院議員と共に当選を祝う写真などが掲載されている。

30億円ルビー原石盗難騒動の真相~発電機の販売めぐりトラブルも

 解任された豊前市3セクの元取締役Kの名前は今年1月、ある不可解な騒動の渦中でも取りざたされていた。

 「30億円ルビー原石盗難騒動」――今年1月27日の正午ごろ、男性から「商談中に30億円相当のルビー原石を盗まれた」と110番通報があった。場所は東京都中央区銀座6丁目のビルで、男2人と女1人が、重さ4キロで30億円相当(通報した男性の申告)のルビー原石を持って逃げたとされたため、現場は一時規制線が張られるなどして騒然とした。しかし警視庁は、通報から1時間後には「事件性はない」と判断、騒動の真相が解明されないまま不可解な事件として報じられていた。

 当時報道された内容をまとめると、騒動は「ルビー原石の販売を委託された男性(註:通報した男性)と持ち主の間でトラブルになった」「ルビー原石の持ち主である女性は約1年前に男性にルビーを預けて販売を委託したものの、進展がなかったために女性がルビー原石の返却を求めたうえで、持ち返った」などとされていた。じつは、このルビー原石盗難騒動で110番通報した男性、すなわち「ルビー原石の販売を委託されていた男性」こそKだったのだ。

 さらにKは現在、ガスエンジン発電機の販売権をめぐるトラブルで岡山県の企業経営者から2,700万円の返還を求められているが、Kが「ガスエンジン発電機の販売代理店を募集する権限をもらっている」と主張した団体の代表理事は今年6月2日、詐欺容疑で大阪府警に逮捕されている。その逮捕容疑はまさに、「ガスエンジン発電機を販売する代理店名目で5,300万円をだまし取った」というものだった。

三原朝彦衆院議員の顧問を3月に辞任

 今年1月に起きた「30億円ルビー原石騒動」の余波は、Kが顧問を務めていた衆院議員、三原朝彦氏事務所にも届いていた。

 三原朝彦事務所はデータ・マックスの取材に対し、Kが三原事務所が任命した3人の「顧問」のうちの1人だったことを認めたうえで、「ルビー原石騒動」を直接の理由として、3月末付でKが顧問を辞任していたことを明らかにした。

 「1月に例のルビー騒動があった際、警視庁から当事務所に問い合わせがありました。そこでKに事情説明を求めたところ、Kは『迷惑をかけた』と認め、自書した3月末日付の辞任届を持ってきました」(三原事務所・中村秘書)

Kが使用していた名刺
Kが使用していた名刺

 Kが三原事務所の顧問になった経緯について、はっきりした事情はわかっていない。「浪人中(落選中)も含めて10年以上支援してもらった縁があり、海外の情報に詳しいということで顧問になっていただいた」(三原事務所)というが、たった3人しかいない「顧問」の肩書をあえて与えた理由や背景については、「よくわからない」(同)という。今年1月には、Kの詐欺被害にあったとする人物が三原事務所に被害を訴えていたが、同事務所がKの肩書を取り消すことはなかった。

 Kは2019(令和元)年12月に、K本人と息子ら3人で計50万円を三原事務所に寄付している。三原事務所は17日の取材時点でKらからの寄付金50万円について「Kに返還することはない」としていたが、19日夜には「(返金について)検討する必要がある。三原と協議して決定する」と対応を変化させている。

 特別取材班は、一連の疑惑についてメールと電話でKに取材を申し込んだが、回答はなかった。

Kは2019年12月に、K本人と息子ら3人で計50万円を三原事務所に寄付している
(三原衆院議員の政治団体「国際政経研究所」の収支報告書より)

【特別取材班】

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