福岡県内4圏域で協議会設置、二級河川の流域治水がスタート
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福岡県は5月、県が管理する二級河川の流域治水をめぐる議論を開始した。福岡・前原・那珂、北九州・宗像、京築・行橋・田川、南筑後の4つの圏域ごとに流域治水協議会を設置し、協議会メンバーには、県(県土整備部、農林水産部、建築都市部、総務部、教育庁)、流域市町村、気象庁、林野庁などが参加する。5月26日、28日にそれぞれ初会合を開催した。
流域治水とは、河川管理者などが行う河川対策だけでなく、流域自治体、企業、住民なども参加し、流域全体でハード・ソフト一体となった治水対策のパッケージを指す。2020年7月以降、全国109ある国管理の一級河川で議論がスタートし、21年3月までに流域治水プロジェクトが策定、公表された。21年4月以降、二級河川でも流域治水プロジェクトの取りまとめに向けた議論が本格化している。
各初会合での市町村から出た主な発言
【福岡・前原・那珂圏域】
(福岡市)「市では、大規模な渇水の経験がある。渇水は浸水とは真逆ではあるが、水循環の視点では共通しているところも多いと思っている。その渇水の経験から、06年に『福岡市水循環型都市づくり基本構想』を策定し、市庁舎や公民館への雨水貯留槽の設置、歩道や公園への透水性舗装など、総合的な施策を実施しているため、今後、幹事会などで事例紹介させていただきたい」
「市では、農業用ため池を治水池に転換する事例も出てきているが、関係者との調整など課題があるので、今後、ため池の具体の活用方法など、幹事会で意見交換ができればと考えている」【北九州・宗像圏域】
(福津市)「市の取り組みとして、宅地開発の際に雨水貯留施設の整備を開発者に求めたり、利用頻度が低下したため池の管理権限を水利権者から譲り受け、低水位管理の試みを始めるなどしている」
【京築・行橋・田川圏域】
(吉富町)「町は、佐井川の下流に位置し、上流で雨が降ると一気に水嵩が上がり、越水のリスク がある。そのため、土屋橋のたもとには、監視カメラを設置し、役場からの監視を行っている」
【南筑後圏域】
(大牟田市)「市は、20年7月6日からの記録的豪雨により、大規模な浸水・土砂崩れが起こり、人的被害や多くの住宅の床上床下浸水など甚大な被害が生じ、市民生活に深刻な影響をおよぼした」
「市は、ポンプ場の増強や排水路の拡張、河川・水路・側溝および調整池の浚渫、浸水状況把握のための監視カメラの設置、消防本部・消防団へのボートの追加配備、テレビの文字データ放送や無料通信アプリラインを活用した新たな広報手段の追加や、昨年の豪雨災害における浸水実績マップを全戸へ配布するなど取り組みを進めている。また、今年度から2カ年かけて、『排水対策基本計画』を策定予定」
各協議会で対象となる主な水系
<福岡・前原・那珂圏域>(19水系)
中川、大根川、湊川、唐の原川、多々良川、御笠川、那珂川、樋井川、室見川、名柄川、十郎川、七寺川、江ノ口川、瑞梅寺川、桜井川、雪山川、一貴山川、加茂川、福吉川<北九州・宗像圏域>(18水系)
貫川、竹馬川、相割川、奥畑川、清滝川、大川、村中川、紫川、板櫃川、撥川、割子川、金山川、金手川、矢矧川、汐入川、釣川、手光今川、西郷川<京築・行橋・田川圏域>(11水系)
佐井川、岩岳川、中川、角田川、上河内川、城井川、音無川、祓川、江尻川、今川、長峡川<南筑後圏域>(4水系)
隅川、堂面川、大牟田川、諏訪川(関川)【フリーランスライター・大石 恭正】
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