2021年12月07日( 火 )
by データ・マックス

キャプテン前、起死回生の同点ゴールでアビスパ救う 福岡1-1広島

 サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は9日、ホームのベスト電器スタジアムにサンフレッチェ広島を迎え、第23節の試合を行った。

 東京オリンピックによる約3週間の中断を経て再開したJ1リーグ戦。アビスパはここまで5連敗、3試合連続ゴールなしの11位と調子を落としていたが、中断期間にどれだけ立て直すことができたかがポイントとなる。夏の移籍で湘南ベルマーレから加入したMF中村駿が先発メンバーに名を連ねたことは好材料だ。

好守で存在感を示した新加入のMF中村駿
好守で存在感を示した新加入のMF中村駿

 サンフレッチェ広島は10位。4年目の城福浩監督は、元日本代表MF青山敏弘を中心としたテンポの速いパスサッカーを展開している。FWジュニオール・サントスはここまで4得点だが、昨シーズンは横浜F・マリノスで22試合13得点を挙げた得点力のあるストライカー。彼がゴール前でボールをもつシーンをなるべく多くつくっていきたいところだ。

 試合はゆっくりしたテンポでスタート。アビスパは前線のFWフアンマ・デルガドにロングボールを当て、ポストプレーからゴールを目指す。一方の広島は左サイドのMF藤井智也が快足を飛ばして突破を図り、中央ではFWジュニオール・サントス、MFエゼキエウ、MF森島司、MF青山らがワンタッチのパス交換でアビスパの守備を崩しにかかる。

 前半は広島が押し気味で推移するが、終了間際の43分には左サイドでボールを受けた福岡FWフアンマがポスト直撃のシュートを放つ。直後にはMF金森健志がペナルティーエリア内でボールを受けるなど、チャンスをつくれる状態で前半を終えた。

鋭いドリブルで再三広島ゴールを脅かしたMF杉本太郎
鋭いドリブルで再三広島ゴールを脅かしたMF杉本太郎

 後半56分、ドラマの種がまかれる。きっかけをつくったのは西村雄一主審だ。アビスパがコーナーキックを獲得し、DFエミル・サロモンソンがボールをセット。アビスパの選手たちは広島ゴール前で動きながらDFのマークを外そうとするが、広島MF森島と福岡DF志知孝明がもつれ合うようにして倒れてしまう。映像では森島が一方的に志知を倒したようにも見えたが、西村主審は両者にイエローカードを提示した。

 そして60分、広島は右サイドから攻撃を仕掛ける。MF柏好文がワンツーで狭いスペースを抜けてペナルティーエリアに侵入を試みる。そこに志知が後ろからチャージしたところで西村主審がホイッスルを吹いてペナルティーマークを指さす。PKの判定だ。そして志知には2枚目のイエローカードが提示され、退場処分となってしまう。

 ファウルが発生した場所がペナルティーエリア内なのかどうかは非常に微妙だったが、VARを経ても判定は覆らず。PKを広島FWジュニオール・サントスが決め、広島が先制する。福岡は1点のビハインドを1人少ない10人で追いかける苦しい展開となった。

 さらにドラマは続く。78分、同点ゴールを狙って前がかりになったアビスパに対して広島がカウンターを仕掛ける。右サイドをドリブルで駆け上がったMF森島は、福岡DFの間に入ってタイミングを見計らうFWジュニオール・サントスに絶妙のパス。ジュニオール・サントスは鋭いステップを踏んでDF奈良竜樹をかわし、前に出たGK村上昌謙の上を越えるチップシュートをゴールに流し込んだ。

 0-2か、とレベスタは失意に沈んだが、西村主審はVARでの確認を経てジュニオール・サントスをオフサイドと判定。ゴールは取り消しとなり、広島のリードは1点のまま試合は最終盤へと進み、90分を過ぎた。

 アディショナルタイムは8分。VARチェックの時間はアディショナルタイムに加算されるルールだ。94分、もう攻めるしかないと前がかりになったアビスパ守備陣の背後に広島のロングパスが通る。MF東俊希がゴール前まで持ち込むが、シュートには至らない。

 そしてクライマックスは、長いアディショナルタイムも終わりに近づいた97分にやってきた。途中出場の福岡MFジョルディ・クルークスが右サイドでボールをもつと、巧みに切り返して広島MF藤井のマークを外して中央にボールを送る。パスを受けたMF前寛之が冷静に左足を振り抜くと、鋭いグラウンダーのシュートは広島DFの足に当たって大きく軌道を変え、懸命にジャンプするGK林卓人を超えてゴールネットに吸い込まれた。1-1の同点だ。

 いつもは冷静なキャプテン前がアビスパゴール裏に向かって咆哮する。0-2で敗戦か、という状況から最後の最後で巻き返した勝ちに等しい引き分けだ。

アディショナルタイムの同点ゴール、吼えるMF前寛之
アディショナルタイムの同点ゴール、吼えるMF前寛之

 リーグ再開初戦を白星で飾ることこそできなかったものの、最高の雰囲気で次戦に臨むことができる。この試合がアビスパでのデビュー戦となったMF中村駿と、コンビを組むMF前との連携は攻守にわたって良好。ゴール前にも積極的に顔を出し、強烈なシュートを放ってみせた。ベテランGK杉山力裕がトレーニング中の負傷で長期離脱を余儀なくされたことを除けば、巻き返しを狙う後半戦に向けての陣容は十分整ったといえるだろう。

 次節は8月15日、ホームでのセレッソ大阪戦。現在の順位はアビスパが上回っているが、MF清武弘嗣をはじめタレントぞろいだ。胸を借りるつもりで、勝ち点3をしっかり狙っていきたい。

【深水 央】

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