2022年05月26日( 木 )
by データ・マックス

「噴火スタンバイ状態」の富士山、噴火で溶岩流だけでなく都市インフラ停止も

 風光明媚な姿で知られる富士山だが、京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・名誉教授・鎌田浩毅氏の「【富士山大噴火、その時】噴火のリスクとその影響」によると、富士山は1707年の江戸時代に起こった宝永噴火以来、300年にわたり噴火しておらず、大量のマグマが溜まった活火山であり、いつ噴火が起こってもおかしくない「噴火スタンバイ状態」にあるという。政府の2004年の発表によると、富士山の噴火による経済的被害額は最大で2兆5,000億円に上ると予測され、噴火により東海地方や首都圏を中心に都市機能に被害をおよぼす可能性がある。

富士山 イメージ 宝永噴火では、溶岩流が流れるとともに火山灰が偏西風に乗って東に飛び、静岡から首都圏にかけて降り積もったが、現在の日本で富士山が噴火すると、街に降り積もった火山灰により都市インフラの停止が懸念されるという。火山灰が屋根に厚く積もり、雨が降ると、その重さで屋根が押しつぶされて家屋が倒壊したり、道路に降った大量の火山灰が下水道に入り、処理能力が追い付かずに排水管を詰まらせたりする可能性がある。火山の噴火は数百年、数千年に一度の出来事ではあるが、今の便利な都市インフラがあるのは「当たり前」ではないことを気に留めておくことは大切だと筆者は感じる。

 また、火山灰には細かい粒子が含まれるため、コンピューターに入り込むと故障を招くことも懸念されているという。現代はIT社会ではあるが、災害対策として行政や企業はコンピューターのみを頼りにするのではなく、データやシステムを確保できる代替手段を前もって講じることが必要だろう。

 1707年に宝永地震が起こった49日後に富士山が噴火したように、巨大地震によって地下に溜まったマグマの動きが活発化して火山の噴火が引き起こされることがある。鎌田氏によると、2030年代に発生すると予測されている南海トラフ巨大地震と富士山噴火が連動して起こる可能性が懸念されているという。南海トラフは、宮崎県沖から静岡県沖まで水深4,000mの海底にあり、大陸プレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる場所で、これまで巨大地震が起こってきた歴史がある。

 火山は温泉や肥沃な土壌など豊かな恵みをもたらす一方、長い目で見た場合、火山の噴火は避けられない。その災害を乗り越える知恵は、これまで数多くの噴火に直面してきた日本の歴史や価値観のなかから見つけ出すことができるのではないだろうか。

 富士山噴火と南海トラフ巨大地震の連動について言及した「【富士山大噴火、その時】噴火のリスクとその影響」の(1)~(5)を後ほど順次再掲していくので、こちらもご参照願いたい。

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【石井 ゆかり】

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