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2021年09月12日 06:00

格闘技界は「Z世代」が盛り上げる キックボクシング界の超新星が見据える未来(後)

石井 一成

 福岡に、格闘技界注目の超新星(スーパーノヴァ)がいる。2013年8月4日のプロデビュー後はタイを主戦場とし、わずか数年で高校生ながらにムエタイの2大殿堂の1つであるルンピニースタジアムの上位ランカーから王座を獲得。少年期より強さとルックスの両輪を備え、そのスター性から“ポスト魔裟斗(まさと)”の異名をとる、22歳の若武者だ。日本を飛び出し、世界に挑戦する「Z世代」のまなざしの先にある未来を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

コンテンツとしての格闘技の可能性(つづき)

 ――石井選手のような25歳以下の若者は「Z世代」と呼ばれるのですが、それよりも上の世代、いわゆる「ミレニアル世代」以上と考え方の違いを感じますか。

石井 一成 氏 石井 競技についていえば、練習方法に違いがあると思います。これまではひたすら走りこみをしたり、スパーリングを1日に10ラウンドも消化したりという考え方が普通でした。いわゆる「やった分だけ強くなる」精神です。しかし徐々に、量より質が求められる時代へ変わってきている気がします。その1つに、マススパーリングと低酸素ルームがあります。スパーリングは同じくらいの体格の者同士が本気で対戦しますが、マススパーリングは主に技術習得のためのもので、体格や性別、キャリアの差があっても行えます。テクニックとスピードが重要なマススパーリングは、効率の良い練習としてよく行われるようになりました。「低酸素ルーム」は文字通り、低酸素の状態でトレーニングを行うことで心肺機能を強化するものです。

 こうした科学的な知見が加わることで、より短時間で効率の良い練習ができるようになっています。ただ練習方法は日々進化していますが、それだけが正解というわけではありません。やはり格闘技は、どんな攻撃にも耐えることができる根性とハートも大事になってきます。その精神の強さを一番鍛えられるのは、従来のきつい練習なんです。だから、なんでもかんでも新しいものに変えるわけではなく、そのときにあった最適な方法を柔軟に取り入れていくことが大事だと考えています。

石井 一成 氏

夢はキックボクシングのリーグ化~子どもたちの憧れの職業に

 ――これまでの格闘技経験を通して、最も印象に残っていることは。

 石井 3年前に、肘打ちあり、首相撲ありの「KNOCK OUT」という日本のチャンピオンだけを集めた大会があったのですが、そのトーナメントで優勝したことが一番嬉しかったですね。決勝戦では、それまで2試合とも引き分けだった大崎一貴選手とあたりました。3回目のこの試合も最後は判定になったのですが、2対0(1引き分け)で勝利をつかむことができました。

 ――現在、戦いの真っただ中にいる石井選手ですが、将来のビジョンは。

 石井 これは昔から決めていたのですが、25歳で引退しようと考えています。今年23歳になるので、あと2年ちょっとですね。引退までの目標に、小学生からの夢だった「K-1チャンピオン」を掲げていましたが、K-1に当時のような活気がなくなってしまい、それとともに引退までの目標も不明確になってしまいました。まだ期間は十分に残っているので、K-1に匹敵するタイトルを獲りたいと思っています。

石井 一成 氏 また、引退後も格闘技界には関わっていきたいと考えています。現在、私の父が運営しているムエタイジム「EXINDECON GYM JAPAN」は私が引き継ぐつもりです。さらに、キックボクシングを、プロ野球でいうセ・リーグ、パ・リーグのようにリーグ化したいです。それぞれのボクサーにスポンサーがつき、選手の成長とともにスポンサー企業も成長していくような仕組みができれば、日本の格闘技界はより活性化するのではないかと思います。私たちの世代は(那須川)天心や武尊(たける)、朝倉兄弟など多くの有名選手がおり、格闘技が盛んな世代だと自負しています。私たちが一緒になって活動を起こせば、リーグ化も実現できるのではないかと思うのです。

 格闘技には大きなリスクがともないますので、すべての選手がそれに見合った収入を得ることができるのが理想です。たくさんの方が格闘技に触れられる機会をつくり、いつか格闘技が子どもの「将来の夢ランキング」に入るぐらい、ポピュラーなスポーツになってくれたらいいなと思います。

 引退まで残りあと2年ちょっと、エンジン全開で行きますので応援よろしくお願いします。

(了)

【文・構成:立野 夏海】


<プロフィール>
石井 一成
(いしい・いっせい)
1998年9月15日生まれ、福岡市出身。ウォー・ワンチャイプロモーション所属。165cm、53kg級(2021年7月時点)。

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