フリーランスとして適正に働ける環境へ「一人親方問題」
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2021年10月05日 06:00

フリーランスとして適正に働ける環境へ「一人親方問題」

 国土交通省は9月2日、「第5回 建設業の一人親方問題に関する検討会」(以下、検討会)をオンライン開催した。グレーゾーンとなっていた一人親方問題の改善を図ることが目的で、有資格・技術者の人材不足が恒常的問題となっている建設業界には、大きな影響を与えるとされている。

社会保険加入率は年々上昇

 国土交通省は2012年度以降、社会保険加入対策を推進してきた。これは、老後の生活や怪我時の保障など技能者に対する処遇改善を図るとともに、法定福利費を適正に負担する企業による公平・健全な競争環境を整備する目的がある。

 同省によれば雇用保険や健康保険、厚生年金の加入率が11年以降、企業・技能者ともに年々上昇しており、20年10月時点の調査では建設業の社会保険加入率(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)は、企業で98.6%、労働者で87.8%まで改善した(図1)。

図1 建設業の社会保険加入率の推移

 一方で、社会保険加入対策を強化すればするほど、法定福利費等の諸経費の削減を意図して、技能者の個人事業主化(一人親方化)が進んだ。これに対して、国土交通省では従来から、ガイドラインの作成など「事業主が労務関係諸経費の削減を意図して、これまで雇用関係にあった労働者を対象に個人事業主として請負契約を結ぶことは、たとえ請負契約の形式であっても実態が雇用労働者であれば、偽装請負として職業安定法等の労働関係法令に抵触する恐れがある」として、指導を行ってきた。

 同省では20年6月、1回目の検討会を実施。職種ごとの実態把握、規制逃れを目的とした一人親方化対策、その他諸課題について、実効性のある施策の検討・推進を図ることとした(図2)。

図2

社会保障率上昇の副反応、一人親方問題

 9月2日に開催された第5回検討会では、一人親方の問題についての中間報告をまとめた。検討会では、保険加入率の上昇など一定の効果が出ていることが示されたほか、21年10月から建設企業の社会保険加入が建設業許可・更新の要件となるなど、社会保険加入対策を強化したことが発表された。

 一方で、社会保険加入対策や労働関係法令規制の強化に取り組めば取り組むほど、一人親方問題がより深刻化することにも触れ、現状の課題として挙げた。国交省によれば、アンケートなどにおいて技能者の一人親方化が進んでいる傾向が示されているという。実態が雇用労働者であるにもかかわらず、偽装請負の一人親方として従事している技能者も一定数存在するとしているようだ。また、偽装請負による一人親方化問題が深刻化することは、技能者の処遇低下のみならず、法定福利費などを適切に支払っていない企業ほど競争上優位となるなど、公正・健全な競争環境を阻害し、社会保険加入対策の根幹を揺るがす重要な問題であると指摘した。

【麓 由哉】

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