2024年04月30日( 火 )

上越新幹線活性化の必要性-新潟空港における航空機と新幹線の連携(前)

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運輸評論家 堀内 重人 氏

上越新幹線の現状

北陸新幹線と上越新幹線 イメージ 上越新幹線は、首都圏と日本海側の都市との間で、到達時間の大幅な短縮を実現させるなど、我が国の経済や文化の発展に大きく貢献してきたが、2014年3月に北陸新幹線が開業したことで、金沢・富山などの北陸地方の都市と、首都圏へのメインルートは、北陸新幹線へ移行し、高崎~新潟間の輸送量が大幅に減少してしまった。

 JR東日本も、輸送力にゆとりがあることから、“現美新幹線”というイベント列車的な新幹線を設定したりして、活性化を模索するようになった。

 そして2021年10月1日までは、日本では唯一の二階建て新幹線であるE4系が運転されており、二階席からの谷川岳などの眺望を楽しむことを売りにしていたが、E4系車両も引退してしまった。

 上越新幹線では、一時期200系電車を使用して、騒音問題で制約の少ない上毛高原~越後湯沢間などで、最高速度275km/h運転を実施していたが、後継車であるE2系電車・E4系電車に置き換えられると、加減速性能の向上により、全区間で最高速度240km/h運転のE2系電車・E4系電車を使用する方が、所要時間が短くなった。それゆえいまだに上越新幹線だけが、最高運転速度が240km/hで据え置かれている。

 “現美新幹線”も車両の老朽化などを理由に、2019年12月20日に引退してしまい、上越新幹線は話題性に乏しくなり、活性化させる施策が欲しいところである。

上越新幹線のスピードアップの計画

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 JR東日本では、E4系電車の置き換えとして、北陸新幹線で使用されるE7系電車を導入した。そして2023年までに、E2系電車もE7系電車に置き換えることで、最高運転速度を270km/hまで、向上させることが可能となる。

 ただ上越新幹線の場合、東北・北海道新幹線と比較すれば距離的に短く、かつ中山トンネル内では、減速箇所があるなど、E7系電車の最高運転速度である270km/hに、最高速度を向上させ、上野~大宮間の最高速度を130km/hに向上させることと合わせ、所用時間を8分程度、短縮させたいとしている。

 上越新幹線が開業した時点で、航空機からはお客さんを奪っており、羽田~新潟間の航路は廃止に追い込まれている。それゆえ上越新幹線の最高速度を向上させ、所要時間を縮めたとしても、大幅な利用者の増加は期待しづらい。

 ただ東海道新幹線でも、最高速度が285km/hであり、山陽新幹線が300km/h、東北新幹線の宇都宮~盛岡間は320km/h運転を行うなど、上越新幹線だけが最高速度が240km/hで、止まってしまっている。上越新幹線の沿線の利用者や、新潟で特急「いなほ」に乗り継いで庄内地方へ向かう人には、不満が残るだろう。

 上越新幹線と在来線特急「いなほ」との乗り換えは、新幹線ホームの向かい側に、「いなほ」の乗り場が設けられるようになったため、新潟駅では対面乗り換えが可能となり、3分もあれば乗り継げる。その結果、庄内地方へのトータルの所要時間は、短縮されている。

 これによる心理効果は大きく、新潟駅における階段の昇降など移動の負担が緩和されたことで、東京から庄内地区の航空機に対する競争力の強化を図ったといえる。

(つづく)

(中)

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