2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

70年の伝統と雇用を守る! 第二創業支援のプロ、fabbitが取り組む施策とは?

(株)システムソフト 代表取締役副社長 田中 保成 氏

 (株)システムソフト(本社:東京都千代田区)は11月2日、fabbit事業本部で(株)わらび座(民事再生)を支援すると発表した。同社代表取締役副社長で同事業部責任者の田中保成氏は、新生わらび座である(一社)わらび座の理事に就任した。今後わらび座がどう変わっていくのかなど、田中氏に話を聞いた。

実績から生み出す再生プロセス

 ――わらび座の支援決定までの経緯を教えてください。

(株)システムソフト 代表取締役副社長 田中 保成 氏
(株)システムソフト 代表取締役副社長 田中 保成 氏

 田中保成氏(以下、田中) 私たちfabbit事業部には、前身であるfabbit(株)創業時(2017年)から掲げている2つの柱があります。それはスタートアップ企業の支援と第二創業支援です。この2つの柱を中心に、これまで国内外の自治体と連携を取りながら、スタートアップ企業の支援、第二創業の支援、そして事業再生支援などを行ってきました。

 今回の決定は、かねてよりお付き合いさせていただいていたわらび座さまから支援の要請をいただいたのが始まりです。一番初めにお話をいただいたのは、1回目の緊急事態宣言が発令された20年4月前後でした。実際に、支援に向けて私たちが動き始めたのは21年3月ごろからです。

 ――記者会見では、コロナ禍による収益悪化とともに経営体制についても指摘がありました。事業の再編・見直しのポイントはどこにあるのでしょうか。

 田中 ここはスピード感をもって、実直にやるべきことを実行するほかないと考えています。トップラインを急速に回復させることは、難しい部分があります。そのため、21年3月に発足したわらび座支援団体などからご支援をいただきながら、ネーミングライツを含む寄付金や協賛金、クラウドファンディングなどを加えて売上を確保していくことが重要だと考えています。

 また、中長期を見定めた施策として、利益を生み出す仕組みをつくることが必要だと考えています。そのためには同時にコスト削減がカギだと考えています。fabbitはこれまでの事業のなかで、総勘定元帳精査のサービスを行ってきた実績があります。そこでは、各所属員と確認しながら、削減が可能な項目をすべて洗い出して、改善してきました。

 このように(株)システムソフトでも活用してきた「ユニット経営」の導入を検討しています。ユニット経営とは、各事業を1つの企業・事業体とみなし、ユニット長に経営の権限を委譲することです。それぞれのユニットが利益の最大化を目指し、マーケットに最適な戦略を立案し、実行していくことです。ユニット経営を導入することで、原価管理の徹底や透明性の向上に寄与するといったことが期待できます。このように経営ノウハウの導入・指導を通じて、現場レベルでの改善努力を促していく予定です。

伝統継承を維持 経営を改善へ

 ――売上拡大とコスト削減に注力するとのことですが、事業縮小とリストラは行わないと発表されました。これは以前から決定していたのでしょうか。

 田中 そうです。事前に(株)わらび座・山川龍巳代表と経営幹部の皆さまと協議した結果、これまでわらび座として行ってきた複数事業によって生まれていたシナジー効果を伸ばすことが大切であると判断しました。そのため、事業をすべて継承することになりました。また、それらの事業存続だけでなく雇用を守ることも重要事項とし、リストラを行わないことが決定していました。一方で、やはりコスト削減は必須となります。今後は業績を拡大しながらもコスト削減にも向けて動き、車輪の両輪で利益を確保していくこととなります。

 伝統芸能の継承と社員の雇用を守ることを前提とした今回の再生において、国内外に幅広くネットワークを構築しているfabbitが役に立てる部分は大いにあると期待しています。同時に秋田県や仙北市などの行政の方々をはじめとした団体、財界の方にもわらび座支援協議会の活動にご賛同、ご支援をいただいています。この太いバックアップがあることは非常に大きいことだと考えています。

 ――顧客目線で見ると、これまでのわらび座と変わりはないということでしょうか。

 田中 これまでわらび座の劇場を楽しんでいただいたお客さまや子どもたちに発信してきた内容については伝統を守り継続していきます。

 また、これからはウェブページの刷新やSNSによる情報発信の向上など、さらに情報の質・量を上げていきます。そういった面では以前のわらび座とは違いますし、これまで以上にわらび座のすばらしさを広く、深く伝えることができると考えています。

 包括的な経営指導のなかにはブランディング、マーケティングを含んでいます。観客数をいかにして獲得していくか、また法人に対してどのようにネーミングライツを販売していくか、ブランドをどのように周知していくかなどの活動を組織全体で行います。

 ――再生に向けての意気込みをお聞かせください。

 田中 70年続いてきた伝統芸能を絶やさないこと、これまで一生懸命頑張ってきた社員の雇用を守るために、できる限りの支援を実施したいと考えています。そのためにも、これまで申し上げてきた各種経営支援に加えて、fabbitの拠点網を有効に活用してわらび座支援の「輪」を広げていくことに貢献したいと思います。

【麓 由哉】


<COMPANY INFORMATION>
代表取締役社長 :吉尾 春樹
代表取締役副社長:田中 保成
東京本社:東京都千代田区大手町2-6-1 
福岡本社:福岡市中央区天神1-12-1
設 立:1979年9月
資本金:16億6,390万円


<プロフィール>
田中 保成
(たなか・やすなり)
ハーバード大学MBA、東京大学卒。ボストン・コンサルティング・グループや大手商社を経て、fabbit(株)CEOに就任。その後、(株)システムソフトとの合併にともない、同社代表取締役副社長に就任し、fabbit事業の責任者となる。訳書『スタートアップで働くということ~起業家ではなく参加者として会社を立ち上げる』(HBS上級講師ジェフリー・バズギャング著)。

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