2024年04月26日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~中国はなぜ不動産税を徴収するのか(後)

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 しかし、国民からすれば、お年寄りのいる世帯を中心に重い負担がのしかかる。

中国 街並み イメージ 中国財政科学研究院の賈康研究員の分析によると、不動産を所有する段階で税負担が生じると、不動産市場の需給双方に影響を与え、常軌を逸した投機行動を抑制するとともに、その他の改革措置と合わせて『健全に発展し長期的に効果を上げるメカニズム』を構築することにもつながる。これは複数のプラス効果をもつ改革だ。不動産の長期的なメカニズムから共同富裕へ、さらには地方政府の職能転換の推進へ、不動産税には大きな期待が寄せられている。一方で、不動産税改革は歴史的な高みに立って新時代における歴史的責任をはたすことになり、共同富裕の推進と第3次分配システムのもつべき機能の最適化・実現のプロセスで重要な役割をはたし、所得分配の調節と社会の公平の実現をより良く進めるものである。他方で、不動産税徴収は一定の期間ごとに課税対象を繰り返し評価できることを意味し、地方政府の職能転換、誠心誠意の公共サービス、現地の投資環境の最適化に、より効果的な財源建設との「内部調節メカニズム」をもたらすことにもなる。

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 今回のテストエリアでの不動産税徴収の対象は居住用の不動産と非居住用の不動産であり、法律に基づいて保有する農村の宅地とそのうえに立つ建築物は含まれない。土地の使用権者、不動産の所有権者は不動産税の納税者になる。

 賈氏は、「これはつまり、農村の住宅を除き、各種の不動産は納税の対象になるということだが、不動産の種類によって徴収方法も変わってくる」と述べた。

 2011年、上海市と重慶市で個人所有の住宅に対する「不動産税」の徴収が試行されたことがある。今回と異なるのは、上海では市民が2軒目に所有する物件のみ対象となったこと、重慶では別荘と高級住宅のみ対象となったことなどだ。

 これに対して賈氏は、「上海と重慶の試行の経験を総括し、長期的な視点で考えると、これからの不動産税課税対象は増えた分を対象にするだけでなくすでに存在する分も対象にしなければならない。積極的かつ慎重な姿勢で、柔軟に切り込み、社会の徴税プランに対する受け入れ可能性をそもそもの初めから考える必要がある」と分析する。

 西南財経大学財税学院の李建軍教授は、「テスト期間中、不動産税はテストエリアで複数の物件を所有する個人または世帯に直接影響を与えることになる。予想されるのは、不動産税徴収では減免設計が必要になることだ。たとえば1軒目に対する減税免税、免除の範囲などで減免設計がなされれば、実際のところ、1軒目の住宅ニーズを満たすために不動産を購入した世帯に対する実質的な影響はないだろう。不動産税改革テストと予測可能な段階的な全国での推進にともなって、不動産投資家の予想される収益と住宅への投資・投機の二ーズが縮小するだろう」との見方を示した。

 

(了)


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