2024年04月24日( 水 )

経営者が知っておくべきDX「再開発とDX」

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 シリーズでお送りしている「経営者が知っておくべきDX(デジタル・トランスフォーメーション)」ですが、今回は再開発(都市開発・地域開発)の観点から、地域社会の持続可能性と企業経営の在り方を紐解いていきます。

 再開発自体はこれまでも各地で繰り返されてきたことなのですが、現代社会においては「スマートシティ」というキーワードは外せません。スマートシティとは、最先端技術を活用して豊かで持続可能な暮らしを実現するという、まさに“まちのDX”であり、再開発はその絶好の機会だからです。

 では、いかにして再開発=スマートシティ、つまり“まちのDX”に取り組むべきなのでしょうか。まずは兎にも角にも、そこで暮らす“ひと”を中心に置くことから始まります。そして1人ひとりの幸せや豊かさのために、長期的で広い視野をもって取り組むことが必要となります。とくに、以下の3つの循環を創り出すことが求められます。また、これらが平常時と災害時の両面で機能するということも重要です。

(1)域内循環
 地域内での価値循環を描きます。農産物の地産地消はわかりやすい例ですが、他にも再生可能エネルギーの循環や、地域内のお金の循環もあります。地域で生まれた価値を、地域で余すことなく活用することが必要となります。

(2)広域循環
 地域は単一で存在するのではなく、他の地域と関わりながら動いています。つまり、地域間での価値循環も必要となります。また、水源などを提供する自然環境も考慮しなければなりません。

(3)時間軸の循環
 最後に時間軸での循環です。一度築かれた地域環境は、何十年と人の暮らしを支えることになります。つまり、今暮らす人だけでなく、将来暮らす人たちのことも考えることは不可欠です。

 ここで、企業経営という視点でも捉えてみましょう。一見すると“まちのDX”である再開発は、行政の取り組みに見えます。しかしながら、経営への影響は少なくありません。暮らす人の環境が整い、教育水準が上がれば、優秀な人材が雇用しやすくなります。地域で暮らす人・地域に訪れる人が増えれば、事業機会が増えます。関わる事業者も増え、地域産業全体も活性化し得ます。つまり“まちのDX”とは企業成長の機会でもあり、いかにそこに関わるかが、戦略上非常に重要となるのです。

 当然ながら、DXしたまちに関わるためには、自組織のDXは前提です。もし自組織のDXを棚上げしてしまえば、時代に取り残されることになるので、ご注意を。


<プロフィール>
渋谷 健
(しぶや・たけし)
フィールド・フロー(株) 代表取締役
外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー、国内大手企業経営戦略室を経て2014年にフィールド・フロー(株)を設立。「事業に脚本を」をコンセプトに、戦略立案からシステム開発や人財育成までを総合的に提供するオープン・イノベーション実践活動を全国展開。経済産業省・農林水産省などの政策事業、北九州市・宮崎県などの地方創生事業、大企業・金融・ベンチャーなどの民間事業に、プロの事業プロデューサー/ファシリテーターとして関わる。

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