2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

【第98回箱根駅伝】青学優勝とスポーツサイエンス

 1月2、3日に第98回箱根駅伝が行われ、青山学院大が10時間43分42秒の大会新記録で、2年ぶり6度目の総合優勝をはたした。ちなみに5時間21分36秒の復路も新記録。2位の順天堂大に10分51秒の大差をつけた。まさに圧巻というほかない。

 青学は往路1区5位、2区2位だったものの、3区で首位に立ち、以降復路の10区まで独走でタスキをつなぎ続けた。

 青学はエントリー16選手が、10,000m・28分台の記録を有する精鋭揃いであり、優勝最有力候補であった。同大学陸上競技部・長距離ブロック(駅伝)部員は1〜4年生総勢43名だが、箱根駅伝にエントリーできるのは16名、そして走ることができる選手は10名で、今シーズンもメンバーに選ばれるために、部内での熾烈な競争があった。23名の学生マネジャーとスタッフ、6名の部長・監督・コーチとスタッフの充実したマネジメントにより、選手たちは存分に競技に打ち込める環境にある。

 監督の原晋氏は就任して18年。前職・中国電力時代の営業マン経験をいかした独自性が高い駅伝チームの運営に着手し、選手たちの、起床・門限・就寝時間などを徹底させる。そのなかで原監督は、学校側と交渉を重ね、トレーニング施設を充実させた。さらに常に最新のトレーニングを導入しながら強化を実行していった。

 一時は存続危機に陥っていた駅伝チームだが、原監督の指導のもとその後、着実に力を付けていくこととなる。

 青学の強さの要因に、スポーツサイエンスの導入が挙げられる。原監督が、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科在籍時に作成した論文では、同大学選手の5,000m・10,000mの記録推移を克明に記載、また競合する他大学選手の記録推移も同様に記載している。

 その数値分析の上で、どのようなトレーニングが最適であるかを示している。現場では、選手ごとにカスタマイズされた分析と対策が提示され、運用されているものと推察される。5,000・10,000mの長距離の原点となる数値をきめ細かく分析し、運用する。これこそスポーツサイエンスの礎であり、どこよりもその礎を大切にする同大学駅伝チームの取り組みこそが揺るぎない強さの1つであることは、明らかである。

 もちろんどの大学も実践しているだろうが、同大学駅伝チームの選手たちは、指導陣の分析に一方的に従うのではなく、自身の見解を述べて議論する。そのうえで双方納得した、最適なトレーニングおよびコンディショニングを実践する。
さらにスポーツバイオメカニクスの分野――選手の体の動き・動作の仕組みなどを、物理や力学など科学の基礎知識を用いながら紐解く技術も日々進化。スポーツバイオメカニクスは、映像などから動作解析のソフトウェアを用いて、各人の力学的なデータを抽出し、動作について客観的視点で長所と課題を出す。同大学駅伝チームも最新のスポーツバイオメカニクスを採用していると推察される。

 スポーツバイオメカニクスもスポーツサイエンスの1つで、前記した5,000・10,000mのきめ細かなデータ推移が基礎にあるので、実用できるのである。同大学駅伝チームの黄金時代は、しばらく続くであろう。

【河原 清明】

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