2024年04月27日( 土 )

懸念される三大メディア印象操作

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、メディアの不正を放置してはならないと警鐘を鳴らした1月11日付の記事を紹介する。

TBS番組「アイ・アム・冒険少年」で偽装があったのではないかと週刊文春が伝えている。番組で「スタッフによる補助がある」「資材の持ち込みがあった」などの記載があれば「虚偽」にならないが、「自力で無人島から脱出」「資材の持ち込みなし」とうたっているなら「虚偽」になる。

2022年のキーワードはMedia Control。メディアの偽装を洞察することが重要になる。メディアの不正を暴くことも重要になる。

虚偽放送は放送倫理違反に該当する。世界的に珍しい昆虫を自力で捕獲したかのように放送したが、実際にはスタッフが仕込んだものだった。民族の珍しい風習と伝えて放送したが、実際はスタッフが創作したイベントだった。

報道をめぐる不祥事は後を絶たない。今回問題とされている事案も、放送内で事実を表記していれば問題はないが、虚偽の放送をしたものであれば放送倫理違反に抵触する可能性が高い。

より重大な問題は、放送に関わる関係者が虚偽放送を擁護していること。辛坊治郎氏がラジオ放送で「いまの視聴者は賢くなっていて『まあ、そうだろう』という受け止め方が大半では」と発言したと報じられている(https://bit.ly/3f7p5G6)。

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視聴者の受け止め方はさまざまだろう。現在のマスメディアの腐敗ぶりを知っている市民はメディアに対する強い不信を有しているから、メディアの虚偽を洞察する力を備えているだろう。しかし、問題の本質はそんなところにない。メディアが虚偽放送を行うことの是非が問われている。

市民がメディアの不正を見抜くかどうかと、メディアの不正を是とするかどうかはまったく別次元の問題。市民が虚偽放送を見抜くことをもって、メディアの不正を許容するのは完全な問題のすり替えだ。

さすがに偏向報道の指揮を執ってきた人物だけのことはある。こうした人物の跋扈を許しているところに日本のマスメディアの堕落が象徴されている。これを噴飯ものという。

虚偽の内容があるなら、番組の冒頭または末尾、あるいは双方に「本番組の内容はあくまでもフィクションで実在のものではありません」のテロップを入れるべきだ。その断りがあれば「過剰演出」「虚偽放送」にはならない。

同じ番組に出演したハリセンボンの場面では「資材持ち込み」のテロップが付され、あばれる君の場面にはテロップが付されていないのだから、偽装の意図は明白といえる。

放送倫理・番組向上機構(BPO)は「放送倫理検証委員会とは」と題して次のように記載している(https://bit.ly/34CAFqZ)。

「問題があると指摘された番組について、取材・制作の在り方や番組内容について調査。放送倫理上の問題の有無を、審議・審理し、その結果を公表します(※「放送倫理上問題がある」と指摘された番組は審議、「内容の一部に虚偽がある」と指摘された番組は「審理」)。

「目的」として次のように明記する。
「放送界の自浄機能を確立し、視聴者に信頼される放送を維持するとともに、表現の自由を守ることを目的とします」。
「放送倫理を高め、放送番組の質を向上させる」。

マスメディアは強い影響力をもつ。とりわけ、全国放送のテレビ放送の影響力は大きい。それだけに、放送に携わる者の倫理観は重要だ。それにもかかわらず、放送に携わる者が虚偽放送を擁護し、肯定するのでは話にならない。自浄機能が確立されるわけがない。このような人物を起用する放送会社の姿勢が問われることになる。

NHKの報道番組でも五輪開催反対デモに関する放送で不適切な対応があったことが判明している。メディアの不正を放置するなら不正なMedia Controlも放置されることになる。

※続きは1月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「懸念される三大メディア印象操作」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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