2022年05月27日( 金 )
by データ・マックス

企業の存続、「自己変革」を支援 福岡のまちの活力を取り戻す(中)

福岡商工会議所 会頭 谷川 浩道 氏

 新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、福岡商工会議所は企業の「命綱」として事業継続のための支援を行い、地場企業の信用を積み重ねている。谷川浩道会頭は、現在は企業にたゆまぬ「自己変革」が求められる変化の時代との認識を示し、企業が将来に向けて希望をもてるように、同所としてデジタル化支援などに一層注力すると意気込みを語る。

企業の「自己変革」のため挑戦を支援

福岡商工会議所 会頭 谷川 浩道 氏
福岡商工会議所
会頭 谷川 浩道 氏

    ──コロナで社会が大きく変わるなか、企業には何が求められていくのでしょうか。

 谷川 国内では昨年の秋以降、新規感染者数が落ち着くとともに、社会・経済活動が回復に向けて本格的に動き出しています。ただし、22年の我が国を取り巻く世界の状況は、コロナ禍に加え、エネルギー・原材料価格の高騰や米中摩擦など不安定要素が山積しています。日本においても円安傾向が原油・原材料の価格を押し上げ、コロナ禍からの回復の足かせとなりかねません。

 しかし、危機は好機でもあります。コロナ禍で顕在化したデジタル化の遅れや感染症対策などのさまざまな課題、さらに近年関心が高まっている環境問題は、見方を変えれば新たな成長へのシーズです。実際、事業再構築やデジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)など変革への挑戦を始める企業も出ています。世界に目を向けると、「カーボンニュートラル」「SDGs」などが企業変革の新たな旗として掲げられています。

 現在のような変化の時代を企業が生き抜くには、生産性や競争力の向上のために、たゆまぬ「自己変革」が求められます。この「自己変革」の流れが、我が国の企業数の99.7%を占める中小企業・小規模事業者に浸透すれば、日本経済の成長の大きな力となることは間違いありません。

 ──商工会議所としても企業のそうした挑戦を支援しようと意識されていると思います。今年はそのためにどのような取り組みを予定していますか。

 谷川 最近の事業者の皆さんからの相談内容を見ますと、徐々にコロナ後を見据えた将来の成長・発展を意識した案件が増えてきているように思います。なかには、新分野やビジネスモデルの転換などに挑戦し、成果を挙げている事業者も出てきています。このような変化を踏まえ、当所自身も、コロナ禍の下での生き残りを支援する緊急対応から、将来の成長に希望がもてるような支援にシフトしていく必要があると思います。その支援には、創業から事業再構築、事業承継などさまざまなフェーズに応じたものも含み、事業者の前向きな挑戦を商工会議所が得意とする「伴走型」の支援で力強く後押しして、活力あふれる福岡の実現に向けて取り組みを進めていきます。

経営相談
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    また、中小企業の生産性向上への取り組みは避けては通れません。生産性向上のための有効な手立てが「デジタル化」です。コロナ禍で、行政・民間ともにデジタル化が遅れていることがあらわになり、国は昨年9月に新たに「デジタル庁」を設置し、デジタル化推進の具体策の検討を始めています。今こそ、官民が一体となってデジタル化を進めなければなりません。

 ──デジタル化については多くの経営者が課題として意識していますが、企業の現場での変化はどうでしょうか。

 谷川 実情としては、まだまだ手作業で事務をしている事業者がたくさんいらっしゃいます。デジタル化のツールは豊富にありますが、なかなか使われていないのが現状です。中小企業がデジタル化を進め、生産性向上や競争力強化を実現するためには、まずは「経営者の意識変革」が重要なポイントだと思います。トップがデジタル化の意義を認識し、自社の未来を描くことが大切です。

 当所では、今後さらにデジタル化を進めるための支援を加速し、事業者の生産性の向上を積極的に支援していきます。1月20~21日、デジタル化推進を切り口とした小規模事業者・中小企業などのDXに向けた“はじめの一歩”を促すための展示会を開催します。IT企業やベンダー企業約20社が一堂に会し、デジタル化・DXの事例を紹介する講習会や展示ブース、個別相談などを予定しています。

 そのほかにも、関係機関や企業などと中小企業向けのサービスを提供すべく、さまざまな協議を進めています。デジタル化は、商工会議所の職員だけでは限界もあります。外部とも連携しながら、積極的に後押ししていきます。

(つづく)

【茅野 雅弘】


谷川 浩道(たにがわ・ひろみち)
1953年生まれ、福岡市出身。76年東大法学部卒、大蔵省(現・財務省)入省。財務省横浜税関長、大臣官房審議官、(株)日本政策金融公庫常務取締役などを経て、2014年(株)西日本シティ銀行代表取締役頭取、16年西日本フィナンシャルホールディングス(FH)代表取締役社長に就任。21年6月、西日本シティ銀行代表取締役会長兼西日本FH代表取締役副会長、福岡商工会議所会頭に就任。

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