2022年06月29日( 水 )
by データ・マックス

【IR福岡・特別連載74】「Bally's IR」は高島市長が掲げる「East&West」構想だ

海の中道 イメージ    福岡市の高島市長は昨年5月、福岡市東区の志賀島や今回のIR候補地である海の中道地区を対象とした「Fukuoka East&west構想」を発表した。同プロジェクトは高島市長がこれまでに発表したなかでも「最上級」のプロジェクトだと言えよう。

 海の中道、志賀島近辺の周辺住民自治体、「僕の街にはアメリカがあった」の会などから、IR福岡誘致開発推進に関する「上申書」が福岡市に提出されたのが2020年8月。この「Fukuoka East&west構想」は、これらを熟知したうえでの、市長自らによる提言だったのかもしれない。それならば高島市長は本当に大した人物だ。

 福岡市は政令指定都市であり、国家戦略特区でもある。従って、本件IRを国に申請するのは福岡市だ。ゆえに長崎県とは異なり、福岡県行政は当事者ではない。また、高島市長は昨年、「福岡市国際金融機能招致TEAM FUKUOKA」も立ち上げた。会長は九州経済連合会会長・倉富純男氏(西日本鉄道代表取締役会長)であり、副会長は福岡県知事・服部誠太郎氏と福岡市長・高島宗一郎氏である。顧問は麻生泰氏(九州経済連合会名誉会長)、柴戸隆成氏(福岡フィナンシャルグループ代表取締役会長)など福岡市都市圏を中心とした政治・経済界の豪華な顔ぶれが並んでいる。

 先日、外国為替業務に関する相談で三菱UFJ銀行に行ったが、同行の福岡支店は近いうちに「外国為替業務」から撤退するという。撤退の理由は、市場性とマネーロンダリング対策だという。また、先日、西日本シティ銀行福岡支店からアメリカに外国為替送金をしようとしたのだが、とても時間がかかったため、みずほ銀行で送金してことなきを得た。また、日本の法人税率はシンガポール、香港などと比べ高いが、これらの問題も福岡へのIR誘致を実現すれば解決へと向かう早道になり得るだろう。

 これらの原因は「根っこは同じ」で、自己保全・組織保全のコンプライアンスとガバナンスを理由にしたこの国の「言い訳症候群」からくるものである。誰もが人の非難はするが、自身に対するリスクを少しでも感じると責任逃避してしまうというのが、我が国の「悲しい現実」なのだ。

 IR福岡の誘致開発推進に関しても、政治家・各財界関係者は、「カジノ」イコール「ギャンブル」と訴える「時代錯誤の反対派」や、マスコミによる「ギャンブル依存症問題」への批判的な報道に恐れをなしている。

 また、一般の人々、とくに中高年の多くは、カジノに対して誤った認識があり、若い人たちとの間に大きなズレがある。若い人のなかには、ネットでギャンブルをする人も多い。すでに「リアル」と「バーチャル」は連携しており、垣根は一切ない。従って、「IRプロジェクト」イコール「カジノ」、「ギャンブル依存症」という認識は大きな誤りである。

 ちなみに、福岡市街地には公営ギャンブルが存在する。それでも、福岡県における「過去1年以内にギャンブル等依存が疑われる者」(国内のギャンブル等依存に関する疫学調査)の数はわずか2.8万人、患者数は外来患者が296人、入院が55という状況だ。一方、IR福岡による新規雇用効果は3~5万人、経済効果は6,000億円~1兆1,000億円、福岡市の税収予測は約400億円(共に年間)にものぼる。

 何事においても「スローガン」を掲げるのは良いことだが、1つ1つ実現しなければ、すべて「掛け声」だけに終わってしまう。高島市長および市議会議員諸氏、Team Fukuoka関係者の皆さんは自身で外国為替送金などをしたことがありますか?インターネットでギャンブルをしたことがありますか?と問いかけたい。近くにいる若い人たちに尋ねればすぐにわかることだが、今の金融機関や政治・行政機関ほどデジタル化が遅れており、彼らのスローガンと現場の実態には大きなギャップがある。

 国際金融都市を目指すのであれば、都銀、地銀の外国為替業務から法人税の問題までを「当地・福岡」の実態と認識すべきだ。「ギャンブル依存症」を理由にしてIR誘致に反対する者たちを恐れてはならない。スローガンをただの「掛け声」で終わらせるのではなく、有言実行しなければならない。現在の日本は世界と比較して相当遅れをとっている、それぞれの政治・経済界の方々は、自らの知識不足を認め、自己保身に走らず、大義をもって行動を起こすべきだ。何事も決断ができないままだと、この国は、ますます世界から取り残されるのは間違いない。皆さん、何を躊躇しているのか?

 米国の歴史あるIR投資開発企業「Bally's」が巨額な投資資金をもって福岡に来る。民間企業の若者たちがここまですばらしい下準備をしたのに、何を躊躇っているのか?これは2度とないほど大きなチャンスなので、勇気をもって、速やかに決断すべきである。

【青木 義彦】

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