かしいかえん跡は何ができる？跡地利用考察（中）

博多バイパス開通で、宅地開発活況の香椎東エリア

　“住むまち”としての香椎のポテンシャルの高さを示す一例が、東側エリアで活況を呈している新たな住宅開発だ。そのきっかけとなったのが、18年3月に開通した国道3号「博多バイパス」の存在である。

　同バイパスは、東区の下原交差点から二又瀬交差点までの総延長7.72kmを結ぶ国道バイパスで、18年3月に最終区間となる多々良中学校西交差点～下原間の約3.3kmが開通したもの。沿線エリアにとっては道路アクセスの飛躍的な向上となるため、開通前からバイパス東側の香椎3丁目や香椎駅東4丁目などでは、主に山林を切り拓いて新たな住宅地の開発が行われていた。そしてその状況は、バイパス開通から4年が経とうとしている現在も、まだ続いている。

　たとえば、朝陽産業（株）が事業主となっている香椎駅東4丁目の「三日月の杜 香椎駅東」は、開発総面積約1.2haにおいて49区画の住宅を開発するもの。大手ハウスメーカー5社（（株）アネシス 福岡支社、（株）スウェーデンハウス 九州支店、住友林業（株） 福岡支社、セキスイハイム九州（株） 福岡支店、（株）谷川建設 福岡東営業所）による住宅開発が進められており、すでに49区画のうち半数以上が成約済みとなるなど、売れ行きは好調のようだ。

　香椎3丁目の「香椎原病院」の裏手側に位置する高台でも、全22区画の分譲住宅地の開発が進行しており、谷川建設や（株）サン・プラザホームなどのハウスメーカー数社が入っている。こちらでは、区画によってはすでに数軒の新築住宅が完成し、新たな生活も始まっている模様だ。

　こうした複数の住宅地開発が進むなかでも、とくに注目される大型開発が「香椎の宮ヒルズ」だ。（株）OKAMURAによって進められている同開発は、約2.2haの山林を造成して、新たに100区画以上の分譲住宅地をつくり出すもの。もともと約60mの高さがあった山を34～35m程度までにならすことで、周辺への土砂災害発生のリスク低減も図られる。また、開発地内には新たに幅員6mの道路を設け、ゆとりある住環境を整備していくとともに、隣接する「宮の台中央公園」とも連携しながら憩いの空間も創出。23年5月ごろの完成に向けて（株）アスミオ.による造成工事が進められており、早ければ24年5月ごろには新たな住宅地が誕生する見込みだ。

　「香椎はとても将来性が高く、とくに駅東側は住宅地の開発がとても盛んなエリアです。JRおよび西鉄の両駅にも徒歩圏内であることに加え、博多バイパスの開通により車でのアクセスが各段に良くなりました。市街地近くでこれだけ宅地開発の余地が残されたエリアは、おそらく福岡市内ではほかにないでしょう。今回開発を行っている分譲住宅地も間違いなく良いものができると自負しておりますので、販売開始から1年以内には売れると見ています」（（株）OKAMURA・岡村恭資代表取締役）。

　こうした大型開発のほかに、（株）イオスコーポレーションによる香椎3丁目「イデアキューブ香椎」（4区画）など、既存の住宅地内の空き家を建て替えるかたちでの開発も進められている。もともと閑静な住宅街が広がっていた香椎東エリアだが、博多バイパス開通による交通アクセスの向上とともに、今や一躍人気の住宅地となっている模様だ。

【坂田　憲治】