2024年04月27日( 土 )

外国人と平和的に共生できる社会を目指して

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 今回は日本の少子高齢化による急速な人口減少について考えていく。筆者は外国人との共生社会の実現を目指した視点から記事を書いており、日本が抱える人口減少問題は早急に対策を講ずべき最優先課題だと捉えている。

人口減少社会到来、問題点は

 総務省は4月15日に「人口推計(2021年10月1日現在)」を公表した。総人口(外国人含む)は、前年比64万4,000人減の1億2,550万2,000人。11年連続の減少となり、過去最大の減少幅だった。また、日本人のみの人口は前年比61万8,000人減となり、10年連続で減少幅が拡大している。生産年齢人口が減少し続け、急速に高齢化が進むようだと、経済規模は今後も縮小を続けるだろう。

 少子高齢化と人口減少が急速に進む日本において、人口増を期待できる方法の1つとして、外国人との平和的な共生社会の実現を目指した取り組みが挙げられる。具体的には19年4月の「改正入管法」で新設された外国人労働者の在留資格「特定活動」の取得者を、日本企業で雇用することで、労働者人口を増やすことである。

「特定活動」雇用のメリット

外国人との共生 イメージ    在留資格「特定活動」は、人手不足解消を目的として外国人を雇用できる。この点において「特定活動」は技能実習生とは大きく異なり、労働者が不足している企業にとって、特定技能の在留資格を取得している外国人を、直接雇用できるというメリットがある。

 特定活動の在留資格には1号と2号がある。特定活動1号の在留期間は5年間と決まっており、5年経過したら帰国しなければならないが、特定活動2号に移行する試験を受けて資格を取得できれば、毎年更新することにより、継続的に日本に滞在できる。さらに母国の家族の帯同も許可される。

 また毎年、特定活動2号の更新が許可され続け、10年間経過すると、永住申請ができる。永住権を取得すれば、日本人と同じ労働条件や生活スタイルで過ごすことが可能となる。

働ける業種が拡大

 現行法では14分野の業種で34万人を上限として外国人を受け入れている。特定技能2号に移行後、現行法で働ける業種は、建設分野の業種と造船・舶用工業分野の2分野のみだが、今後、新たに11分野の業種が追加され、合わせて13分野の業種で働けるように法改正が行われる予定である。

 なお、特定技能1号で働ける14分野の業種のなかで、「介護」分野の業種だけが対象外となっているのには理由がある。特定技能1号の介護分野の業種で働き、5年間が経過した際、特定技能2号に移行するのではなく、単体の在留資格「介護」に変更して継続的に働くことができるためである。

外国人労働者と移民についての考え方

 18年3月9日、衆議院議員の奥野総一郎氏が「外国人労働者と移民」に関して提出した質問に対する、日本政府の回答を参考までに紹介する。

 当時の安倍晋三内閣総理大臣の国会答弁
「政府としては、たとえば国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと、期限を設けることなく受け入れることによって、国家を維持していこうとする政策については、専門的、技術的分野の外国人を積極的に受け入れることとする現在の外国人の受け入れの在り方とは相容れないため、これを採ることは考えていない」と答弁している。

 日本は、主要先進国と比べ難民の受け入れが非常に少ないことで知られている。19年8月28日から30日にかけて横浜で開催された「第7回アフリカ開発会議(TICAD7)」に出席したフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、「日本は難民問題の解決において重要なパートナーシップである」としたうえで、他の先進国と比べると難民認定の基準が厳しいと指摘し、法整備を求めた。 

 日本政府は移民政策を行っておらず、移民を受け入れていないとの立場を堅持している。しかし、多くの外国人を速やかに受け入れて共生する社会の実現を目指さないと、人口減少問題を解決することは不可能だ。日本政府には、それをしっかりと認識していただきたいものである。

【岡本 弘一】

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