2024年04月26日( 金 )

天国と地獄のある世界(1)地獄へあと一歩の日本

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

エンゲル係数50%時代に戻るリスク

社会人 イメージ    1947年生まれのA、B、Cの繰り言。昨日のニュース記事「アサリ偽装の『その後』」をめぐって口火が切られた。「輸入すれば、円が安くなっておりアサリ価格が高騰して一般庶民の食卓から消えるな」とCが断言した。「1ドル150円まで下がることは確定である。もう輸入する食料には手を出せない。ヨーロッパは軍事安保よりも食料安保を優先してきた。歴史に基づく経験の賜物である。ところが、日本は国力が付いて生意気にも食料を輸入に頼るようになった。食料安保の意識がまるでゼロだったツケが回ってくる事態となる。食べるものがなくなるということだ」とAは今後を悲観する。

 Bは「自前で調達できるのはコメしかないな。国民総出で命をつなぐために、コメづくりに奔走しなければならなくなる。少なくとも60年前に戻らなくてはならなくなった」と語る。「企業物価指数が前月比で10%アップしている。このツケは今月から必ず消費者物価に跳ね返る。5月は5%くらいの値上げになるのではないか」とAは読む。

 Cが血相を変えて、次のように強調する。「現在のコメの価格は非常に安い。日本人がコメ主体に回帰したら価格がすぐに3~4倍に高騰することは間違いない」と。さらに付け足す。「一般家庭ではエンゲル係数が50%を超えることになるな。これまた60年昔に後戻りである」。

良き時代に生まれたことに感謝

 Bが新たな論点を投げかける。「もし、その日の食事の確保が難しい状況に陥ると、みんな逞しさを身につけて対応できるであろうか?」。「それは無理であろう。軟弱な精神力をもった人は激動期にはさらに弱まっていく。心を病む人たちが急増して社会問題に発展する。庇いきれない事態となり、社会不安を招くかもしれない」と予測するA。

 Cが回顧する。「1945年8月の敗戦から再建するという負の遺産を抱えてのスタートであった。誰もが他人様に構う余裕がなかった。心を病む人は皆無であったはず。その日暮らし、その日を生きるために必死で生きていたから、自ずと太々しさを身につけた。これにプラスして、“産めよ増やせよ”による人口増のなかで競争意識を叩き込まれたね」。Aが間に割り込む。「そしてマイナスのスタートから平成のはじめ(1992年あたり)まで、日本の経済発展が続いた。この期間、我々の世代は本当に恩恵を被った。努力すれば5倍の成果がついてきたからね」と。

 「時の勢いに遭遇すると好結果を握れる。ところが、経済が下降すると、どんな優秀な人でも結果を残せない。だからこそ今の若者たちはかわいそうである。1945年からの40年間、経済は登りつめた。そして残りの35年は泥沼へ一目散に駆け下った。どこが底辺なのかはいまだ不明。まさしく地獄へ転落中ではないのか」とBがしみじみと語る。現状では地獄から敢然と這い上がってくると断言できない。

(つづく)

(2)

関連記事