2024年04月21日( 日 )

九州ラグビー復権への道 サニックスの撤退と今後(1)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

ラグビー界へ多大な貢献

ラグビー イメージ    (株)サニックスがオーナーであったジャパンラグビーリーグワン(以下、リーグワン)・サニックスラグビー部(宗像サニックスブルース)は、5月31日付で活動休止、事実上の廃部となった(6月13日、リーグワン理事会で退会を承認)。

 リーグワン開幕年のシーズンでのチーム消滅により、ラグビー界に激震が走った。なぜなら、コカ・コーラレッドスパークスラグビー部が昨年12月に解散となったばかりであったからだ。コカ・コーラに在籍した選手の一部が宗像サニックスに移籍し、またもやチーム消滅の憂き目にあった。そして新卒で今年4月に入った選手たち…リーグワンのリリースを見ると、移籍が決まった選手も出ているものの、まだ進路が決まっていない選手が存在しているのは事実である。宗像サニックスは活動休止後、第三者へのチーム譲渡も探ったが、実現には至らなかった。

 宗像サニックスの複数のOBを取材したところ、「青天の霹靂でした。創業者の宗政伸一さんに愛と情熱でラグビー部を応援していただき、時には叱咤激励、時にはあらゆる困難から守ってくださりました。そのラグビー部が消えてなくなってしまうとは…何も言葉が浮かびません」と異口同音のコメントが寄せられた。

 続けて、当時在籍中の関係者に問い合わせたところ、「詳しいことはわかりません。まったくの寝耳に水でした。リーグワンの一番下のカテゴリーのD3でしたが、現有戦力で挑戦し続けようと、来シーズンに向けた準備も並行して行っていた矢先でした。シーズン中に宣告されたことは、心理的に相当ダメージはありました。選手は沈痛でしたが、リーグ戦を最後まで全うしてくれました。本当に頭の下がる思いでした。皆次の道が早く決まって欲しいです。最大限の支援はしていきます」とコメント。

 青天の霹靂、寝耳に水であったことは気の毒でならない。

▼おすすめ記事
【ラグビー】宗像サニックスが廃部 企業スポーツの今後(前)

 一方で、サニックスの業績が低調であったことは事実である。2022年3月期の売上高は509億3,600万円。前期比15億2,000万円増で、一見すると業績回復となる。しかし、営業損失26億1,800万円、最終損失34億4,900万円の赤字となった。純資産も80億9,700万円から47億3,200万円(自己資本比率24.5%→13.5%)に目減りした。今年1月に純損失28億円の下方修正のリリースを発信していた。日本卸電力取引所(JEPX)における市場価格が、同社の想定以上に上昇したことが要因としている。

 直近5期は、500億円前後の売上高で一進一退の状況であった。そして今回34億円の赤字により、累損が79億円に膨らんだ。今期(23年3月期)以降の業績回復を見込めることができず、同社としては断腸の思いでラグビー部廃部を決断した。

 ラグビーにおいては、2000年から「サニックス ワールドラグビーユーストーナメント」のメインスポンサーとして大会運営に貢献するなど、ラグビー界に多大な貢献を続けていることは誰もが認める存在である。その同社のシンボルであったラグビー部が消滅したことは、九州ラグビー界にも大きな損失である。

(つづく)

【難波 二郎】

(2)

関連キーワード

関連記事